番組制作中、結構気を使うのが出演者の名前。変換などですぐに出てこない漢字の組み合わせなどもあり、意外と間違えやすい。「渡辺」だったか「渡部」だったか、「あつ子」なのか「あつこ」なのか。珍しい苗字でも名前でもないのに意外と忘れてしまいがちだ。
台本上で間違えないように気を使い、クレジットで間違っていないかと何度も確認する。そんな中、改名なんてされてしまうとますます混乱して、徹夜続きだったりすると、今までの名前をつい打ってしまったりする。ADの作業をディレクターやプロデューサーなど複数の人間で確認しなければならない。
エンドロールに流れるスタッフネームも同じこと。私の姓名は少々珍しいこともあり、漢字が1文字間違っているなど日常茶飯。プレビュー時、生放送番組などはOA時に確認するが、たまにヒヤッとすることがある。まぁ、しょうがないさ。人名は読むのも難しいのもあれば、漢字の組み合わせが珍しいのもある。日本人の名前は本当に難しい。
マイペース崩さずいつもリラックス
名前の不思議。「著名人名づけ事典」の著者・矢島裕紀彦さんに伺うと、芸能人やスポーツ選手には、漢字の意味だけでなく響きを大切にする人が多いという。スポーツ選手や芸能人は、時代の流行を先端的かつ積極的に取り入れる傾向がつよく、たとえば本木雅弘さんの娘・伽羅(きゃら)ちゃんとか、さだまさしさんの娘の詠夢(えむ)ちゃんなど。すぐに読めそうで読めない名前にも親の愛が詰まっているようだ。
ちなみに、作家はよく「文」の字を付けたり、政財界人は父祖から1字を引き継がせている例が比較的多く、立身出世や富の繁栄を願う「豊」「昇」「栄」「富」「進」などを使った名前がよく見られるという。
さらに、名前の読み方からその人を鑑定することもできるという。脳科学から名前を鑑定する感性アナリストの黒川伊保子さんによると、言葉の響きから生まれるイメージには理由がある。「スズキ シュンスケ」と「ゴトウ マナブ」ではどちらが足が速そうか。多くの人がスズキ シュンスケと答えるであろう。これには理由があって、ス、ズ、キ、シュ、ス、ケの6音が息の突風を伴って発音される音韻だからなんだそうだ。また、勝負強い人に「アイちゃん」が多いのはなぜか。これもA音は声帯の響きだけで出す自然音で、どんな状況でもマイペースを崩さない、崩せないのが「あ」がつく名の人の特徴。スポーツ選手やスターに「あ」が多いのは、あまり緊張せずにいつも通りに振る舞える、リラックスして能力を最大限に発揮できる性格が多いからだという。なるほど。
「親」が凝縮されてる「子」の名前
名付けとは親が子供に与える「最初にして最大の贈りもの」だと言われる。だが、矢島さんはこうも例えている。名づけとは最期の晩餐の時に何を食べるかといった意味での「究極の献立選び」だと。お茶漬けのようにシンプルなものを望むのか、高級レストランのメニューのように手をかけて作り込んだ凝ったものを選ぶのか、洋風か和風か。そこには名づけた親の価値観や哲学、趣味嗜好、教養、人生体験などが凝縮されてにじみ出ているモノなのだ。
自分の名前を間違えられた時の怒りは大きい。それだけに番組で名前を間違えるなんて御法度。気をつけなくては。
モジョっこ