九州新幹線が全面開通したのに、東日本大震災の翌日(2011年3月12日)だったためにほとんど話題にならなかった。テレビ向けCMもお蔵入りになってしまったが、インターネットで人気となっている。
このCMにJR九州はずいぶんと力を入れていた。テーマは「九州は一つ」で、沿線各地の人たちにウェーブをしてもらい新幹線の車両からそれを撮影。九州7県を表すのに、虹の7色を使って特別車両をしつらえ、鹿児島中央駅から博多までの沿線住民にホームページで参加を呼びかけた。撮影が行われたた2月20日には1万人以上が集まったという。
257キロの沿線に集まった1万人出演
そのノーカット180秒バージョン――。特別列車が鹿児島中央駅をゆっくりと離れ、スピードを落として走る車窓から映し出された光景は、マンションのベランダ、ビルの屋上、歩道橋、球磨川だろうか小舟の上から、色とりどりの思い思いの格好で手に持った旗を振ったり両手を振る人の波が延々と続く。ウエディングドレスを着た新婚ホヤホヤのカップルや孫をおんぶして走るおばあちゃんもいる、喜びがそのまま伝わってくる。こうして3分間の鹿児島中央駅から博多駅まで全長257kmの楽しい旅は終わった。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト