「原発20キロ幽霊町」人恋しく歩き回る1匹の犬悲し
「週刊新潮」の巻頭グラビア「20キロ圏内『幽霊町(ゴーストタウン)』の犬の生活」を見ていると、涙腺の弱い私は泣けて仕方がない。なかでも歩道の脇に脱ぎ捨てられた防護服を人恋しそうに嗅ぐ白い犬の可愛いこと。
私も第一原発まで行く間に、多くの牛の群れや何匹もの犬を見かけた。達観したかのような牛に比べ、犬は食べ物を与えようとしても近寄ってこなかった。猫の姿はほとんど見ない。
新潮のモノクログラビアでは、福島県の大熊町や富岡町など原発と深く結びついていた20キロ圏内の町には、「原子力最中」「回転寿司アトム」「ブックスアトム」パチンコ「NEW ATOM」という看板があると紹介している。この写真も悲しい。
ガイガーカウンターが品切れだそうだ。それならば自分でつくってしまえと、新潮は作り方を図入りで紹介している。関心のある人は読んでみたらどうか。
今週も現代と「週刊文春」が売れ行き好調のようだ。文春は東京電力批判に絞り込んだ誌面づくりが功を奏していると思うが、今週はそれ以外にも注目記事が多い。
まず、15歳未満の男子が脳死と判定され、国内初の心臓移植手術が行われたが、この子は事故死ではなく自殺していたのだという記事。仲介した日本臓器移植ネットワークは、かつて自殺者をドナーに選ぶことを自ら厳しく戒めてきた。なぜなら、「自殺の場合、その意思を生かすことは極めて難しい。『命のリレー』である移植医療は、生命の尊重が出発点」(森達郎移植ネット理事)
自殺の動機を調べることもなく強引に事を運んだのは、昨年7月に改正臓器移植法が施行されたのに、子供の移植はゼロだったことで移植ネット側に焦りがあったのではないかと移植関係者が語っている。この問題を大震災の陰でうやむやにしてはいけない。
いまや「菅桶内閣」とまで揶揄される菅直人首相の惨めな40日間を描いた、「菅首相『ヒステリーと涙』の異常症状!」も読み応えあり。
そして巻頭の独占スクープ「玄葉国家戦略担当相 復興を裏切る大スキャンダル」を読めば、被災地の人間でなくとも怒りが沸いてくる。