東京電力が遅まきながら福島第1原発事故を巡る2つのことを明らかにした。一つは清水正孝社長が示した仮払い補償金、もう一つは勝俣恒久会長による原発の収束目標だ。
1世帯あたり100万円、単身世帯75万円の仮払い補償金の対象は「避難指示」が出ている原発から半径20キロ圏内、「屋内退避指示」の20キロから30キロ圏内の約5万世帯だ。
ただ、どういう性格の補償金なのかが判然としない。世帯は生計を共にする所帯と同義語だから、当面の生活費ということなのだろうか。それなら大所帯の家族もいるだろうし、単身世帯との差が25万円というのも解せない。
それに本来、放射能物質を放出されて避難指示という経済的、精神的苦痛を受けているのは、子どもと大人の違いはあるにせよ個人であって、一人当たりの補償を対象にすべきではないのか。何となく東電のずるさが透けて見え、避難者が「100万円で生活しようがない」「気休めみたいなもの」と怒るのも当然だ。
キャスターのテリー伊藤「違う場所でちゃんと生活できるよう考えてあげないと。100万円もらったって働く場所がないとどうしようもない」
ステップ1、2に根拠なし
収束への工程表は次のような計画である。ステップ1として、放射能を減少させる目標を3か月。この段階で放射能の大気、土壌への飛散を防止する。ステップ2として、放射能の放出が管理され大幅抑制された状態を目標に、その後の3~6か月程度で達成するというもの。
司会の加藤浩次が皮肉っぽく、「今までとあまり変わっていないことを言っているのですが、期間を示してくれたのは大きなこと」と言う。沖縄・宮古島出身の医師、友利新も「実現するかしないかはともかく、何となくメドがついたのは安心サイドになる」と、やはり消極的評価だ。
ステップ1、2ともに明確な根拠があるわけでなく、あくまで願望色の濃い計画だけに安心はできないというわけだろう。