旅の贅沢さ子どもにも
プロジェクトの中に親子向け電車があった。今までのボックス型シートは子どもには座りにくく、どうしても大人優先となっていたなかで、水戸岡は親子で座るシートをデザインした。旅の贅沢さを子どもにも味わってもらいたいというのが発想のスタートなのだが、プレゼンテーションの直前まであれこれ考え、やっと完成させる。しかし、試作品ができても彼は妥協することがない。乗客が座っているシーンを考えながら、さら細かい変更を加えていくのだ。
別に妥協するわけではない。自分の好みは厳然としてあって、一方でどうしたら多くの人に楽しんでもらえるかという面も実現させていく。プロフェッショナルというのは、矛盾しそうないくつものことを、切り捨てることなく実現して、それを利用したり楽しんだりする人も自分も満足させられる人だということが実によく分かる。
YUKK