リーダーの言葉が軽い。いや、重みがないだけではない。不信感を募らせるばかりだ。昨日(2011年4月13日)、東京電力の清水正孝社長が1か月ぶりに記者会見した。「1日も早く」「ベストを尽くしている」と繰り返すのみで、具体策は何も示さなかった。
1か月たったから記者会見やっとくか…
清水社長の会見について、司会のみのもんたは「2時間続きましたが、もう少し、東電はこうして頑張っているといった気持がにじみ出るようなものにならなかったものか。ベストを尽くしたといっても、ベストを尽くした結果がこれか、といわれる」とため息をつく。
コメンテーターたちは一様に酷評した。
北川正恭(元三重県知事)「非常時のトップリーダーの役割は解決へ向けて覚悟を決めることだ。いまの状況が難しいことは誰もわかっている。それを乗り切るというメッセージを示せたかどうか。その姿を見せてほしかった」
三屋裕子(スポーツプロデューサー)「情報が本当に全部上がっているのか。それを精査して、本当にベストを尽くしたと社長が納得して言っているのか、そう疑心暗鬼になる」
金井辰樹(東京新聞政治部次長)「何のために記者会見したのか。このメッセージを伝えようという確たるものがあったからではなく、1か月たったからというだけだったのではないか。どのように収束させるのか、補償はどうなるかを聞きたかったのに、これではやる意味がなかった」
みのは補償金の仮払いにこだわる。
「避難している人たちは、いま100円の現金がなくて困っている。なんとか、取りあえずにでも払うことはできないのですか」
金井「海江田経産相が3日前に100万円という額を提示しているわけだから、昨日の会見は後退した印象になった」
「再び住み続けること不可能」
東電の社長よりも地元の怒りと反発を呼んだのは、菅首相が語ったとされる次の言葉だ。
「(避難対象区域には)当面住めないだろう。10年住めないのか、20年住めないのかということになってくると、再び住み続けるということが不可能になってくる」
計画的避難区域に指定されたばかりの福島県飯舘村では、住民集会の最中にこのニュースに飛び込んできた。菅野典雄村長は怒りに声を震わせながら、「これが一国のリーダーの言葉ですか。少しでも早く戻れるように努力するというのが政治家でしょ。なんという心ない言葉。我慢ならない。まったく悲しくてなりません」と一気に言い終わると、目をぬぐった。
首相がそう語ったと記者団に説明した松本健一内閣官房参与はその後、「私の推測だった」と発言を訂正、首相も官邸で報道陣に聞かれ、「私が言ったわけじゃありません」と足早に去った。しかし、内閣官房参与という立場の人が首相の発言と推測を取り違えるとは不自然な話だ。また、菅首相も歩きながら否定するという姿は一国のリーダーとしてどうなのか、不信の念は消えない。