「再び住み続けること不可能」
東電の社長よりも地元の怒りと反発を呼んだのは、菅首相が語ったとされる次の言葉だ。
「(避難対象区域には)当面住めないだろう。10年住めないのか、20年住めないのかということになってくると、再び住み続けるということが不可能になってくる」
計画的避難区域に指定されたばかりの福島県飯舘村では、住民集会の最中にこのニュースに飛び込んできた。菅野典雄村長は怒りに声を震わせながら、「これが一国のリーダーの言葉ですか。少しでも早く戻れるように努力するというのが政治家でしょ。なんという心ない言葉。我慢ならない。まったく悲しくてなりません」と一気に言い終わると、目をぬぐった。
首相がそう語ったと記者団に説明した松本健一内閣官房参与はその後、「私の推測だった」と発言を訂正、首相も官邸で報道陣に聞かれ、「私が言ったわけじゃありません」と足早に去った。しかし、内閣官房参与という立場の人が首相の発言と推測を取り違えるとは不自然な話だ。また、菅首相も歩きながら否定するという姿は一国のリーダーとしてどうなのか、不信の念は消えない。
文
一ツ石| 似顔絵 池田マコト