連呼もない自粛選挙のなかで現職が有利なのか、78歳の石原慎太郎が261万1208票を獲得して東京都知事選に圧勝した。投票した都民の4割以上が石原に入れた勘定になる。
石原圧勝を受けてスタジオでは、「もともと有事の石原といわれていたし、危機管理の能力は圧倒的」(コラムニストの勝谷誠彦)など、石原ヨイショが飛び交った。
1000万kwが必要でないものに消費
「心身の衰え」を感じて決めた引退を翻し臨んだ4選。当選速報を受けて、東京・南青山の石原事務所に現れた石原は、「しからば石原、4戦して何をやるかと言えば、同じことをやるしかない。プラスアルファは災害対策」だという。
石原都政が早急に取り組まねばならないのが電力不足にどう対処するか。石原は会見で次のように言い放った。
「パチンコ屋がやっている電力の消費は450万kw、それに自動販売機の使っている電力が年間450万kw。1000万kw近い電力がさほど必要でないものに消費されている。自動販売機が羅列している国は世界中にない。 国はこれを契機に政令を出したらいい。担当大臣がニコニコやって来て、テレビ(のカメラマンを)ゾロゾロ連れてきて、私と握手して『節電よろしくお願いします』。そんなものじゃない」
言われてみると、地方の主要道路際にはひときわ目立つけばけばしいパチンコ店のネオン。自動販売機の羅列も目に余る。これに勝谷がもらした感想は、「東京都で起きた災害ではないが、国難ですから。そういうときは引っ張る人がいい。それに言うことがうまいですよ。パチンコ屋がこうで自動販売機がこうだ…。サイドからビシッと『あっ、そうだな』と思わせることを言う。言語能力はリーダーには必要です」。
キャスターのテリー伊藤「政治家としてプロだと思う」
原発の必要性は強調
司会の加藤浩次が「知事選では民主党は自民に負けましたね」と言うと、勝谷は「当たり前ですよ。いま見えてきた一番の国難は、官邸にあんな連中がいることですよ」とバッサリ切り捨てた。
まあ、石原礼賛はそのくらいにして、電力が規制されたなかで、日本の中枢機能が集まる首都・東京をどう運営していくか。石原は原発の必要性を強調していたが、供給義務も果たせない東電の地域独占体制をこのまま続けられるのか、課題は大きい。