万事に言えることだろうが、依然として深刻な状態が続く福島原発にも、いろいろな見方がある。事態の収束に悲観的な「風評」を持つ庶民が少なくない一方、原子力の専門家は原子炉や燃料プールの応急冷却が(不十分だが)一定程度できていることを強調する傾向があり、高濃度汚染水が出てるが、大気に拡散するよりはまだましだろう、と言わんばかり(口が裂けても言わないだろうが)の物言いを目にすることもある。
見通し立たない「廃炉」
フジテレビでおなじみの赤いメガネの専門家、澤田哲生・東工大原子炉工学研究所助教は本日(2011年4月8日)の番組で、「全体としては炉心が順調に冷やされ、汚染水も少しずつ対応している。時間はかかっているが、押さえ込んで回復する方向に向かっている」と前向きに評価した。
いくら回復の方向と言われても、そのスピードと確実性について、庶民的に心配のタネは尽きない。十分な冷却機能の確保――という廃炉に向けた第一歩に進む歩みはまるでカメかアリのようで、それすら想定外の事態によっていつひっくり返されるかわからないと来ては、安心などできない。東日本はまさに世界中でも類いまれな放射能危険地帯となってしまったのだ。
文
ボンド柳生