東日本大震災に世界各国から支援の手が差しのべられている。気になるニュースの単語を解説する「けさ単!」コーナーで「国際的災害支援」を取り上げた。
井上貴博アナによれば、現在、世界130の国と地域、国際機関が日本への支援を表明している。たとえば、台湾では義援金を集めているが、すでに107億円に達した。これはアメリカの99億円を上回る。人口は10分の1だから、1人当たりにすれば大変な金額だ。マウンテンバイク1000台が贈られることも決まっている。宮城県気仙沼市では、スリランカ人有志によるカレーの炊き出しがあった。2004年のインド洋大津波での支援に対する恩返しだという。
フランス「事故データ入手」
こうした国際的災害支援は他にも様々あるが、外交ジャーナリストの手嶋龍一よれば、国によっていろいろな狙いや思惑があるという。いま日本に対する支援にも意味の違うふたつの支援があると分析する。
ひとつは震災被害。これは「民」に対するもので、「災害に立ち向かう人々に世界は感動、日本の復興支援は世界の大義」として行う応援だ。もうひとつは原発事故。これは「官」に対するもので、「日本の政治指導部に世界が疑念を抱いている。危機管理を日本だけに任せられない」という不安の表れから行っている。
原発大国フランスはサルコジ大統領自らが日本を訪れた。世界最大の原子力総合企業アレバ社のCEOも来日、海江田経産相に「必要な専門家をいくらでも派遣する。部下のように使ってくれ」と申し出た。手嶋はこれについて、原発大国として国益を守るために事故のデータを入手する意図もあるのではないかとみる。
アメリカ「被曝実態の情報収集」
アメリカは化学・生物兵器対応部隊「シバーフ」の150人を派遣した。被ばく者の除染や放射性物質の管理が可能な部隊だ。コメンテーターの北川正恭(元三重県知事)は「アメリカは他国の政府の発表を信用しない国だが、シバーフが来てから日本を信用するようになった」といい、支援の関係から国際関係が見えてくるという。
被災者の冷静で健気な姿は各国の称賛の的だが、政府の原発事故対策や情報開示には疑問や不信が広がっている。井上貴博アナは「人と人、国と国との支え合い」が日本を支えてくれていると結んだが、放射能汚染水の放出がさっそく隣国の反発を呼んだように、政府が的確で誠実な対応を怠れば、こうした支援の輪も失速しかねない。