気仙沼沖の海上で、漂流するがれきの上から救助された犬がきのう(2011年3月4日)、飼い主に引き取られた。2歳のメスで名前は「バン」だった。
見つかったのは地震から3週間経った4月1日。気仙沼沖1.8キロの海上で、海上保安庁のヘリが家の屋根やがれきが流れ寄せられた塊の上に動いている犬を発見、ボートで救助して宮城県動物愛護センターに保護されていた。
この様子は新聞、テレビで伝えられたが、これを見た気仙沼市内で被災した女性が「うちの犬ではないか」と、以前に携帯で撮ったイヌの写真と特徴を海上保安庁にメールして名乗り出た。
きのう午後、愛護センターを訪れた飼い主を遠くから見つけると、バンは尻尾をちぎれるように振り吠えた。女性は声もなく、ただただ抱きしめていた。津波で家が流され、オリに入れていたバンも飛ばされたという。
犬は寒さに強く食べ物ないと動かない
司会の羽鳥慎一「本当によかった。よく3週間もねぇ」
柴犬を2匹飼っているというスケート金メダリストの清水宏保「ふっくらしているし、生命力が強いですね」
獣医によると、この犬種は体毛が二重になっていて寒さに強く、食べ物がないとじっとしているという。ということは、まだ見つかる可能性もあるか。この震災では、生き残っても飼い主に巡りあえない犬が多い。バンが保護されていたセンターにも、たくさんの犬が飼い主を待っているようだった。
飼っていた犬や猫を連れ出せないまま被災した人は多く、壊れた家の中で猫を見つけた老夫婦は涙を流して喜んでいた。
「孫以上ですよ。生き甲斐」
また、一家3人が流されて、犬だけ生き残った家族もあった。親戚が探し出してエサをやると、「(犬が)涙を流していた」という。
助かっても、避難所の多くはペット禁止だ。OKの避難所でも、収容場所はロッカールームなど不自由を強いられる。宮古市内の動物病院には、そんな飼い主から預かったペットが35匹もいた。避難所でやむなく車の中に置いていて、体調を崩して死んだケースもあった。
羽鳥「ペットというと怒る人がいますけどね、家族なんだって!」
清水「そうです、家族ですよ。喜怒哀楽はあるし、地震の時は震えていましたし」
センターのイヌたちに飼い主は見つかるのだろうか。せっかく津波を生き延びて、まさか殺処分ということはないだろうが……。