東北のモノ作り再生できるか?早くも始まった「日本回避」

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「転注が一番こわい」

   技術の高さを物語る例として番組が取り上げたのが、宮城県石巻市の「堀尾製作所」とその下請けの「雄勝無線」。堀尾製作所の主力製品はカーオーディオの部品などだが、精度の高さから世界中の自動車の10%で使われている部品もある。

   工場は高台にあって津波の被害は免れたものの、激しい揺れで機械が傾くなど手痛いダメージを受けた。

「滞っている部品で迷惑をかけている。早く再開したい」(堀尾雅彦社長)

   3月20日(2011年)には電気も復旧し、工場の試運転までにこぎつけた。ところが気がかりがあった。下請けの雄勝無線が津波の被害にあい、従業員14人は無事だったが、機械や道具のすべてを失ったのだ。

   雄勝無線は堀尾製作所の製品の仕上げや検査を行い、確かな仕事ぶりには定評があった。その技術を失えば堀尾製作所の商品の信頼も失いかねない。堀尾社長は「他社に転注されることがわれわれにとって大打撃」と、雄勝無線に発注している工程を自分のところで行えないか試したが、スピードが不十分のうえ技術も難しく断念した。結局、雄勝無線に自社工場の一角を貸与して機械や道具も揃え、一緒にやることにした。

   雄勝無線の山下健吾社長はホッとした表情でこう語る。

「これでおしまいと思っていたが、堀尾さんのおかげでようやくこぎつけることができた。これからが大変ですが、もうやるしかない」
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