被災地の復興――と一口に言うが、津波で町自体が完全に失われ、がれきに埋もれてしまったような町は、いったい復興するまで何十年かかるのか。また津波が来たら? 「住民はその地に残るのか、離れるのか、葛藤しています」と赤江珠緒キャスターが言うのは、岩手県の陸前高田市。
歯科医院経営の男性は、「青二才」のときに陸前高田に来て歯科医院をはじめ、「この場所で育てられた」ことに感謝している。先は見えないが、復興の思いを胸に町にとどまり、患者に恩返ししたいという。
「関東の方に出張るか、迷っている」
こうしたNHK的な美談がある一方で、また違った思いを口にする人もいる。同市市長は「マスコミのみなさんは(復興と)簡単に言いますが、現状を見ていただければわかると思います」と、絶望感を漂わせながら、キレ気味に話す。
ガソリンスタンドに勤務していたという41歳男性は「ほとんど(人が)いなくなんじゃないですか? 陸前高田市」「また商売やるといっても、みんな流されりゃお金もない」「関東の方に出張るか、迷っている」などと言う。
「みんなに逃げ出さないで、残ってほしいが、そうできない事情がある。いまのままでは町は終わってしまう」と、歯科医師は話した。
文
ボンド柳生| 似顔絵 池田マコト