避難生活が続く中、被災地では追い打ちをかけるように卑劣なドロボーが横行している。金庫をこじ開けて現金や貴金属が盗まれたり、駐車中の車から貴重なガソリンや灯油タンクが盗まれたり、コンビニ荒らしまで現れた。被災者たちが自衛に乗り出す動きも出てきた。
壊れた自宅で警戒する被災者
被災地の取材を終えスタジオの戻っていた笠井信輔アナによると、岩手県石巻市では、家族は避難所暮しをする一方、ドロボーを警戒して父親が壊れた自宅に無理して住んでいる家が多いという。そんな一人は、「せっかく地震と津波から助かった命を、何でこんなことで危険に晒されなくてはいけないのか、それが一番つらい」と嘆く。
宮城県東松島市では、店内の商品が見えないように中から窓に紙を張って目隠しするコンビニや、コンテナで窓際にバリケードを築いているスーパーもある。被災者の不安な心理状態に付け込み、デマ情報を携帯や口コミで流す不埒なヤカラや義捐金詐欺も出没している。
山村武彦(防災システム研究所長)は「被災者はこれまで、壊れた家を見て愕然とし現実として受け入れられない心理だった。ようやく、これから背負っていかねばならないこれが現実なんだと再認識するころ」という。
そこへドロボーという人災の追い打ちではたまったものではない。笠井が「これだけは絶対に許してはいけません」と絶叫した。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト