福島第1原発3号機で24日(2011年3月)、作業中の3人が被曝し、うち2人が足の皮膚に炎症を起こして病院に搬送された。「とくダネ!」は「予期せぬ大量の放射線 なぜ?作業員3人が被曝」と取り上げたが、2人は高濃度の放射線に汚染された水たまりで短靴を履いて作業していたという。
ことここに至って「予期せぬ」というのも解せないし、まして水が溜まっているのが分かっていて短靴で作業とは開いた口がふさがらない。
放射線量計測しないまま作業
事故が起きたのは3号機のタービン建屋の地下1階。作業員たちはケーブルの敷設作業に従事していた。3人が上半身につけていた放射線量計の数値は173~180ミリシーベルト(作業員の被曝線量の上限は250ミリシーベルト)だったが、短靴を履いていた2人が水深15㎝程のところで靴の上部から水が浸入、足のくるぶしのところまで水に浸かった。水面の放射線量は毎時400ミリシーベルトに達していたという。
診察した医師によると、高濃度の放射能物質が付いて起こるベータ線熱傷の疑いがあるという。一人は長靴を履いていて足への障害は免れたが、そもそも高濃度の放射能に汚染されている場所で、なぜ身軽な格好で作業をさせたのかという疑問が湧く。
呆れたことに、事故当日は放射線量の計測をしないまま作業に従事させていた。東電は「事故のあった場所で前日も作業を行っていたことや、浸水が少ないということもあり、当日の計測は不要と判断した」という。
被曝対策も丸投げ
予期せぬというのは、人為的なこうした判断ミスを指しての表現なのだろうが、放射線防護の専門家、福士政広(首都大学東京教授)は次のように厳しく批判する。
「作業員も最悪の事態を考えて、長靴をはくくらいの注意が必要だったし、(作業員を)送り出す現場管理者も水があることは分かっていたのだから、きちっとチェックする必要があった」
傲慢というか、ナメた姿勢の東電側の記者会見に出席した岩上安見(ノンフィクション作家)は、「被曝した3人は東電の社員ではないようなんですが、どこの会社の社員なのかという質問に東電は一切答えない。どういう立場に置かれた人なのか答えようとしないのは問題がある」と憤懣やるかたなしといった表情だ。
東電にはあいた口がふさがらないが、こうした判断ミスを防ぐ役目の原子力安全・保安院は現場で何をしているのかも解せない。原子力不安院に名称変えた方がいい。