外部からの電源復旧で、中央制御室にようやく電灯がともった福島第一原発の3号機。いよいよ機器の点検と炉心冷却作業に入ると思われた矢先のきのう(2011年3月23日)午後、また黒煙を吹き上げ、作業員が退避する事態になった。煙の原因は不明のまま。煙はその後おさまり、周辺の放射線量も高くないが、とりあえず成り行きを見守っている。
実は、それより深刻な事態が1号 機で起こっていた。海水を注入して下がっていたはずの圧力容器内の温度が400度を超えたのだ。原子炉は運転中でも300度台だから、これは異常だ。どういうことかと、司会のみのもんたが諸葛宗男・東大特任教授に聞いた。
線量はいまとほぼ同レベル
原子力安全・保安院は1号機には「緊急措置が必要」としていて、「中の水蒸気を逃がす(ベント)措置をとるかもしれないということ。400度は設計温度を超えている」と諸葛宗男教授はいう。
みの「抜けるんですか」
諸葛「抜けるんです。バルブが付いているから。ただ、電気が来ないと自動的に止まるようにできている。まだ電気が来ていないから、作業員は放射能が高い中を入って行って開けないといけない。非常に危険な作業になる」
みの「抜いた水蒸気はどこへいくんですか」
諸葛「そのまま屋外へ放出されます」
みの「放射性物質が出る?」
諸葛「放射性ヨウ素、セシウムが増えることになる」
みの「……」
諸葛「いま圧力は上昇中なので、抜くかどうかギリギリの判断ですが、予断を許さない」
みの「われわれは最悪のケースを考えてしまう。容器が破損して飛び散るとか」
諸葛「そうなったら、周辺への影響はケタがひとつ違ったものになる。それを防ぐために抜こうとしている。その方が放射能はぐっと少ない」
みの「国によっては、80キロ以内(の自国民)は避難とか指示しているが、どの程度になるのか」
諸葛「すでに2、3号機でベントしているから、いまと同程度ということです」
南相馬市は7万人のうち5万人退去
みの「蒸気を放出するときに、水のシャワーをかけて抑えるということはできませんか」
諸葛「効果はあると思うが、放射線量が非常に高くなるから作業員は退避せざるをえないと思います」
みのはなおも食い下がる。
「判断を間違えて、本当に爆発してしまったら?」
諸葛教授はいろいろ理由をあげたうえで、「チェルノブイリの100分の1以下」といった。はたしてその程度で済むのだろうか。今朝の朝日新聞は原発の北にある南相馬市では、人口7万人のうち5万人がいなくなったと伝えている。