外部電源の決死の復旧作業の結果、最も危険度が高いとされる福島第1原発3号機の中央制御室にやっと照明が点灯した。これで1号機~6号機の通電が確認されたことになる。
「一歩進んだようですね」(小倉智昭キャスター)とこの一筋の光明が差し始めた現状を取り上げたが、正念場はこれからだ。
スリーマイル島はもっと小規模・短時間
生出演した原発に関する著書もある舘野淳(中央大教授)は、「問題は原子炉の圧力容器内への再冠水時に何が起きるか」だという。舘野によると、いったん露出し非常に高温になっている炉心に水を注入する再冠水は、今まで米スリーマイル原発事故で例があるだけ。「変なところで水素が漏れ、爆発が起きる可能性もある」と心配する。
スリーマイル事故の時は、炉心が100分間露出していたといわれ水素が発生したが、幸いにも圧力容器の中に水素がとどまってくれていた。しかし、今回はもっと長時間露出しているとみられ、炉心を覆う被覆管が損傷している可能性もある。
水素や放射能発生の可能性
舘野の解説は続く。
「炉心はだいぶ冷えているといわれているが、本当に冷えているのかどうかが問題。中央制御室が復活してきたので、正常に作動すれば原子炉の圧力容器内の温度や圧力が分かるし、液面のレベルも分かる。
いずれにしろ、水を注入して炉心を冷やす必要があり、その時に水素や放射能が発生しないか用心する必要がある」
まだまだ綱渡りは続くということだ。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト