「毎日のように放送を通じて『現状は大丈夫ですよ』とお伝えしているんですが、テレビを信じてもらえないようで…」
小倉智昭キャスターがぼやいて取り上げたのが、放射能汚染によるお腹の赤ちゃんへ影響はないのか、小さな子供に将来の影響はないか、母乳は心配ないのかなど、いま最も母親たちが感じている様々な不安だ。
不安を掻き立てるように23日(2011年3月)未明2時、厚労省は福島産野菜の放射能汚染度を発表した。県内25市町村の野菜11種類から暫定規制値を超える放射性物質が検出されたというのだ。規制値を超えたのは葉物野菜(ホウレンソウ、小松菜、キャベツなど)のほかブロッコリー、カリフラワーで、当分の間は摂取を見合わせるよう呼び掛けている。
福島原発事故で急ごしらえ
ここで小倉が吠えたのが「暫定規制値」という用語。
「だいたい『暫定』というのが付いている。それも最初は暫定基準値といっていたのが、今は暫定規制値になり、実に曖昧」
この疑問に大谷浩樹・首都大学東京放射線学科准教授が答えた。大谷によると、暫定規制値は年間の放射線被ばく量の限度を示したICRP(国際放射線防護委員会)の勧告に基づいて食品に対する安全基準を決めた数値。福島原発事故であわてて作ったため暫定と付いたようだが、それも「日本の場合、厳しい基準になっている」(大谷)という。だが、観念的に「厳しい」と言われてもさっぱり分からず、次のような小倉の疑問もわいてくる。
「たとえば、ホウレンソウを水洗いすれば10分の1に減少するというのは、規制値の10倍も水洗いすれば普通に戻るということですかね。買ったホウレンソウをそのまま生で食べる人はいませんよ。必ず洗いますよ」
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト