岩手県大船渡市の大船渡中学校。昨日(2011年3月21日)、卒業式に代わる卒業証書手渡しの会があった。校長先生は「この災害を生き抜いたということを思い出して生きていってほしい」とはなむけの言葉を贈った。
大船渡市でも3000棟を超える家屋が倒壊するなど大きな被害が出た。体育館では約200人が避難生活を送っている。卒業生たちは教室で卒業証書を受け取ったあと、その体育館へ向かった。被災した人たちへのプレゼントがあったのだ。唱歌「故郷」の合唱。はじめに卒業生代表が「ふるさとはこんなことがあっても復興してほしい。その思いを込めて歌います」とあいさつ。全員で「兎追ひし…」を歌った。
聞いている被災者の目が次第にうるんでくる。
「元気をもらいました。みんなで一緒にやれるという気持ちになりました」
「生徒たちにはこの苦しみを乗り越え、災害を糧として頑張ってほしい」
みんな涙をぬぐいながらに語っていた。
証書を持って校庭に出た卒業生たちの表情は明るい。リポーターの中山美香が聞く。「いまの気持ちは?」
グリーンのジャージの女子生徒、笑顔で「うれしいでーす」。担任の若い女の先生の表情も晴れやかだ。
「全員そろって卒業の日を迎えられて、感謝の気持ちでいっぱいです」
きょう22日は高校入試合格発表
スタジオからキャスターのテリー伊藤が語りかける。
「うれしいですねえ。みんなが元気だと、大人たちも元気になれる」
実は今日22日は高校の合格発表の日なのだ。午後からみんなで見に行く。伊藤「自信ある?」
「はーい。ありまーす」
女子生徒も男子生徒も大きな声でこたえる。
「全員合格できるといいね」
コメンテーターの菊地幸夫(弁護士)「この生徒たちはきっと人の悲しみ、苦しみがよくわかる子どもに育ってくれると思います」
未曾有の大震災の中、若者たちの新しい一歩が始まる。
文
一ツ石| 似顔絵 池田マコト