9日目救出の孫と祖母「必ず助かると考えていた強さ」精神科医分析

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   沈着冷静、頼もしい16歳である。倒壊家屋の中から9日ぶりに救出された宮城県石巻市の阿部任君。80歳の祖母を守り、217時間を耐え抜いた。

「口数は少ないが、たいしたやつだと思っていた。それを証明してくれた」

   父親の言葉には、息子に対する深い愛情と信頼と感謝の気持が込められている。

   地震発生の翌日に任君と長男の携帯電話がつながった。家族は生存を信じていたが、家が津波で140メートルも流され、捜索は困難な状況だった。任君と祖母は壊れた家の2階の台所に閉じ込められ、外と連絡を取ることができなかったのだ。

   2人は毛布やタオルに包まり、ヨーグルトやコーラ、水や菓子でしのいだ。外の様子がわからず、不安な9日間だったに違いない。余震が収まらず、氷点下に冷え込む日もあった。それでも取り乱すことなく、救助を待っていた。

   2人は病院に運ばれたが、任君は足に腫れがあるものの、他に特別な異常はなく、21日(2011年3月)には報道陣の取材に応じた。祖母は食欲もあり、間もなく退院できそうだ。

生き抜く知惠

   司会の加藤浩次「2人が回復に向かっているということで良かったですね。精神力がすごい」

   コメンテーターの菊地幸夫(弁護士)「絶望することなく、食料を少しずつ食べるなど生き抜く知恵があった」

   病院の主治医は精神面のケアを予定しているといっているが、精神科医の香山リカは「この2人は希望を捨てずに必ず助かると前向きに考えていた強い人だ。ケアといってもそんなに深刻なものではなく、今度は人を助ける側に回るのではないか」と話す。

   2万人を超える死者・行方不明者を出した東北関東大地震。悲しみのニュースが続くなか、被災者とそれを取り巻く多くの人々を勇気づける生還だった。

文   一ツ石| 似顔絵 池田マコト
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