日本野球機構は今季のプロ野球の公式試合の開幕をパ・リーグは4月12日に延期、セ・リーグは3月25日からとしていたが、19日に29日に変更した。東日本大震災の救助・救援活動が懸命に行われ、首都圏でも停電が続く中での開幕には強い批判が起き、選手会なども反対していた。セ・リーグは開幕戦のナイト試合も4月3日までは東京電力、東北電力管内はデーゲームとし、レギュラーシーズンを通して延長もなしになる。
これに内心ほっとしているのが日本テレビだ。日本テレビ系は3月25日の午後5時50分から8時54分(9時24分まで最大延長)まで「巨人・横浜」戦の中継放送を組んでいたが、このまま開幕戦のナイター中継を流せば、批判はテレビ局にも波及しかねなかったからだ。
「東北ではまだ安否不明の人や遺体収容もできない人もたくさんいて、外国から救援部隊が来てくれているのに、そんなときに野球でワーワーやってていいのかという声は当然でしょうね。それだけでなく、首都圏では計画停電で不便な思いをしているのに、大量の電気を使うナイターは批判の的になる。そんな試合をこれまた電気をたくさん使う中継放送でやるなっていわれるのも必至でした」(日本テレビ関係者)
日テレとしては、人気低落著しいプロ野球中継のテコ入れのためにも、開幕戦は派手なイベントとスペシャルゲストで思いっきり盛り上げたいところだが、未曾有の災害の中ではそれも難しい。開幕戦をナイター中継でやってもいいことはひとつもなかったのだ。開幕戦が平日の昼間では高視聴率は期待できないが、世論の袋叩きになるよりはましだろう。
ナイターは1試合あたり1万6000キロワット時の電力を使うが、デーゲームなら1万1000キロワット時ですむ。4000~5000キロワット時使う大型ビジョンも当面は使用休止となりそうだ。(テレビウォッチ編集部)