全域が壊滅状態の宮城県多賀城市。笠井信輔アナが現場から涙ながら伝えたのは、母を捜し続けていた11歳の少年、その祖父とオバの3人の悲しい瞬間だった。
津波が襲ってきた時、母親は1人で車を運転していたという。3人は瓦礫の市内に放置されたままの車を1台ずつ確認しながら、母の車を捜し回った。モスグリーンみたいな色のセダンだという。
見覚えある車の中に…
オバが「似ているよ、どうしょう」と叫びながら飛んできた。ビル1階の内部、瓦礫の中に横倒しになった車。泥でよく見えないが人がいるようだ。車にしがみつつきながら「恵理子、恵理子」と妹の名を絶叫するオバ。
少年は「ママじゃなくても助かったらいいね」と言う。取材スタッフが3人に代わって警察へ救助を依頼する。15分後に駆け付けた消防レスキュー隊によって救出作業が始まったが、母親は車の中で亡くなっていた。
警察官にそのことを告げられた瞬間、オバの悲鳴のような泣き声が瓦礫の山に響いた。少年に父はなく、孤児になった。
笠井が「大丈夫ですか」とオバに話しかけると、気丈にこう話し始めた。「ウン 大丈夫。お父さん、お母さんもいて、守るものがいっぱいあっから。ウン、ウン」
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト