「明日から東京電力管内の計画停電を実施することを了承しました」―13日夜(2011年3月)、菅首相が記者会見で発表して始まった電気の供給を一時的に止める計画停電。一夜明けた14日早朝の停電実施予定が二転三転し、この発表をまともに受けて運休が相次いだ首都圏の交通は大混乱した。
新幹線大宮駅に通勤客殺到
13日夜の首相の計画停電発表や新たに任命された蓮舫節電啓発担当相の節電の呼び掛けをきっかけに、都心で早くも節電の動きが広がった。
電気の街・秋葉原。まだ営業中なのに大型家電量販店のビルのネオンは消え、いつもはオレンジ色に輝いている東京タワーの照明も消されて真っ暗。
計画停電の第1グループに入っているJR大宮駅。停電が始まるはずの14日午前6時20分になっても電気が止まる気配はない。停電が急きょ中止されたのだという。
ところが、JRはすでに京浜東北線(大宮~赤羽間)、高崎線・宇都宮線の運休を決めていたから、東京へ向かう通勤客は運行している上越・長野新幹線に殺到、新幹線切符売り場は長蛇の列となった。
同じく停電が予定されていた第1グループの浦安市内の路上。信号が消えるため、交通整理の警察官数人が待機していたが、信号は自動で動いている。警察官は「何の連絡もない」と手持無沙汰の様子だ。
この東電の混乱ぶりは筆者の身近でも起きた。報道では23区内は荒川区を除いて対象外となっているのに、滅多にならない練馬区役所の広報用スピーカーから女性職員の声で計画停電の予告が流れたりした。
番組中に、東電が午前9時20分から始まる第2グループの停電も中止を決めたという。
社員も経営者も踏ん切りがつく
キャスターの小倉智昭「計画停電はファジー(曖昧な)状態になっているようです」と皮肉ったが、新幹線やタクシーで通勤せざるを得ないサラリーマンは大変な出費と苦役だ。あまりにも計画が細かすぎて混乱しているのか、防災専門家の山村武彦はつぎのように指摘した。
「需要のかなりの部分は企業や工場などの大口需要家。これが圧倒的に多い。一般家庭用送電をわずかずつ止めるより、そちらを優先的にストップべきだと思いますよ。産業にどの程度影響があるかは考えないといけないが…」
IT会社社長の夏目剛「JR東日本や私鉄はほんの一部区間しか運行していない。(政府が)休日扱いにしようとメッセージを出した方が、社員や経営者の踏ん切りがつく」
こんな混乱4月いっぱいまで続くとなると、首都圏のサラリーマンは持たない。もう一度計画を練り直した方がいい。