いじめ自殺の中学生―卒業式で両親が実名公表「覚えていてほしい」

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   昨年(2010年)6月、川崎市で1人の中学3年の男子生徒が自殺した。いじめられている友人を守り切れなかったというのがその理由だった。テレビや新聞で報道されたが、生徒の実名は伏せられていた。昨日(2011年3月9日)、中学の卒業式があり、両親と兄が出席、卒業証書を受け取った。そして、自殺した息子の実名と写真を公表した。

   生徒の名前は篠原真矢(まさや)。当時14歳。素直で優しそうな少年だ。自殺する2日前という修学旅行での写真には、ピースサインをする笑顔が写っている。

匿名の一生で終わらせたくない

   リポーターの阿部祐二が両親に心境を聞く。母親は「いまでも毎日思い出します」。自殺したのは自宅1階のトイレだった。そのトイレにはまだ入れない。頑固で曲がったことの嫌いな子だった。友人をかばっていたら、自分も標的になり、繰り返し叩かれたりズボンを下ろされたりされたという。遺書があり、いじめた同級生4人の名前が記されていた。うち3人が暴力行為処罰法違反容疑で書類送検され保護観察処分となった。

   実名の公表について、両親は「悪いことをしたわけでもないのに、名前を伏せられていて可愛そうだと思っていた。困っている人を助けることの大切さを教えてくれた真矢という人間が生きていたということを覚えていてほしい」と話す。息子が匿名のままの一生に終わることは両親にとって耐え難いことだったに違いない。

   式の後、父親は息子のクラスメートに、「君たちに辛い思いをさせて申し訳ないが、辛い思いをした人間こそ、優しい人間になれる」とメッセージを送った。

   キャスターのテリー伊藤は加害の少年たちに呼び掛ける。

「真矢君の前でお詫びをしたのか。卒業を機会にちゃんと向き合って謝罪すべきだ。そうしないと次の人生へのけじめがつかない」
文   一ツ石| 似顔絵 池田マコト
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