「けさの顔」コーナーは見慣れぬアメリカ人。国務省のケビン・メア日本部長(56)だった。「沖縄の人はごまかしとゆすりの名人だ」という発言が、沖縄はもちろん、各方面から猛反発をくらっている。
発言は昨年12月(2010年)、沖縄へ研修に行く学生向けに国務省で行った講義で出たものだが、あまりの偏見に複数の学生たちがメモをもとに発言録を作って公表した。とにかくひどい内容である。
「日本人は合意形成の文化をゆすりの手段に使う」
「沖縄の人々は日本政府に対するごまかしとゆすりの名人だ」
「沖縄県民は合意を求めながら、多くの金を得ようとする」
「沖縄県民は怠惰で、ゴーヤの生産も他県が上回っている」
などなど。発言録を作った学生は、「アメリカを代表する外交官が、日本人にこのような偏見を持っていることにがっかりした」と話す。メア本人はJNNの取材に「発言録は正確ではない」と弁明している。
沖縄県議会は「県民を愚弄するものだ」として全会一致で抗議決議を可決。菅首相も「大変遺憾だ」、枝野官房長官も「きわめて不適切であり容認しがたい」と語った。
周辺に同じこと言ってる日本人の存在
アメリカ側も困惑を隠せず、ルース駐日大使は枝野の抗議に遺憾の意を表明、「いささかもアメリカ政府の公の立場を反映したものではない」と述べたという。きょう来日するキャンベル国務次官補は、ダレス空港で「この機会を利用して、報道が引き起こした誤解に個人的に謝罪したい。日本側の報道には失望している」と語った。日本の報道がオカシイと言っているのか、報道されている内容に失望しているのかよくわからないが、厄介な問題と考えていることは明らかだ。
メア部長は沖縄総領事など日本在勤17年、 日本語も堪能な日本通で、夫人は日本人。国務省きっての知日派として知られる。普天間移転問題も彼が担当している。
司会のみのもんた「なんでこんなことになっちゃったの。日本が嫌いならともかく、日本をよく知っている人がこういうことを言うとはね」
弁護士の若狭勝は「彼の周囲の日本人の中に、それらしいことを言っている人がいるのではないか」と話したが、これは案外、的を射ているかもしれない。
内野雅一(「週刊エコノミスト」編集長)「発言の真意がわからない。外交官の言葉はデリケートなものだとわかっているだろうに」
これは国務省の例のルールだろう。記者へのバックグラウンド・ブリーフィングは、 直接引用はしないというのが不文律だ。そのつもりでしゃべったら、相手は記者ではなく学生だった。そんなところだろう。彼が接する防衛省や外務省の役人に、こういう沖縄観をもっている人間はいそうだ。