「取り調べ全面可視化」今月末提言―検察・警察ドタン場の巻き返し

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   村木厚子元厚労省局長の冤罪に端を発した検察の証拠改ざん事件。法務省に設置された「検察の在り方検討会議」がヤマ場を迎えている。最大の焦点になっているのは取り調べの全面可視化だ。「クローズアップ現代」はどこまで踏み込めるか探った。

   検討会議の委員は15人。元検察トップや弁護士、民間からジャーナリストが加わった。昨年末以来、延べ10回の会合がもたれ、3月末までに改革の方向性についての提言がまとめられることになっている。森本健成キャスターが検察改革の取材を担当している鈴木高晴・NHK社会部記者に「特捜部存続については決まっているのですか」と聞いた。

「特捜部の問題は改革をしたうえで存続をさせるべきだという意見が大勢を占めています。これは、これまで特捜部が担ってきた一定の役割が評価されているのだと思います。ただ、検察不祥事が相次ぐなか、検察官の倫理について明確な規定がないことが大きく影響しているのではないか、検察官の倫理規定を設けてはどうかという意見が多数出されています」

「自白得るのは不可能」と条件闘争

   最大の焦点になっているのが密室で行われる取り調べの全面可視化。委員の一人である宮崎誠・前日弁連会長は、「今回の検討会議が不当な取り調べをやめさせる絶好の機会になる」と必要性を強調する。一方、検察側は「可視化すると容疑者から十分な供述を得られない」と拒否だ。

   ところが、1月20日(2011年)に行われた5回目の会合で、委員の一人で、検察擁護の但木敬一元検事総長からこんな発言が飛び出した。

「取り調べの可視化は価値のあることだ。取り調べに頼りすぎる捜査が根源的に問われているのではないか。調書さえ合っていれば調書を採用して有罪になる。それが今の時代に通用しなくなった。今までのやり方から相当大きく捜査方法を変えないといけない」

   これまで、検察官調書は裁判で決定的な証拠として認められてきた。しかし、裁判員裁判が始まってからは、密室で作られる調書より法廷での証言が重視されるようになっており、検察官の主張が覆され無罪判決まで出ている。

   そうした反省から出た但木発言だったが、すぐ後退してしまった。2月24日に行われた10回目の会合。最高検察庁が「全面的な録画・録音は捜査に支障がある。取り調べの一部にしたい」と蒸し返したのだ。さらに、佐藤英彦元警察庁長官は「全面可視化を強行すれば、これまでのように自白を得るのは不可能だ。取り調べにかかる捜査手段として、通信傍受の拡大や司法取引、おとり捜査の導入が絶対条件だ」と新たな提案を行った。不当な取り調べや犯罪的な証拠改ざんを是正するための検討会議のはずなのに、検察・警察は問題点のスリ替えを狙って条件闘争を。

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