「武士の道」が一転非合法化
仇を突き止め剣の修行をするが、時代は変わり、明治6年に仇討ち禁止令が出されてしまう。今まで「武士の道」として勧められていたものが、一転、ただの「謀殺」として死罪相当となったのだ。
だが、六郎の無念を晴らさずにおくものかという思いは変わらない。一方、2人の犯人のひとり、一瀬(小澤征悦)は東京に出て判事となる。この一瀬の心中もさりげなく描かれているのがドラマに深みを与えている。
表情をあまり変えない藤原竜也の演技が、かえって内面の激情を感じさせて緊迫感をもたらした。その厳しさがあったから、目的を果たし、虚脱して故郷の廃家に戻った六郎を静かに出迎えたなかを見た時の微かな表情の動きが、印象的になってくる。ああ、よかった。これからは2人で残りの人生を穏やかに送ってほしいと心から思った。
ただひとつ、幼かった妹はその後どうなったか全然出てこないのが気になった。
カモノ・ハシ