入試問題ネット投稿事件。入試終盤を迎えた大学当局は大慌てだが、以前から韓国や中国では同様の不正受験が起きていたのに日本の大学は対策をとっていなかった。
カメラ内蔵メガネ、消しゴムモニター
韓国では2004年に日本のセンター試験に当たる大学入試で、何人かの優秀な受験生が解答を試験会場の外にいる人物に一斉にメールし、答え合わせしたうえで試験会場の受験生に配信していた。組織的な大がかりな不正受験で、300人以上が摘発され懲役刑を科せられた者もいた。
翌年から携帯電話の試験会場への持ち込み禁止、入口でのボディーチェック、監督官に金属探知機を持たせるなどの対応をし、違反した受験生には「受験資格1年間停止」の処分が待っているという。
さらに巧妙、悪質化した手口が見つかったのは中国。受験生は試験会場で問題を解くというより、出題された問題をひたすらハイテク機器で撮影、それを外部に送信してキャッチした外部者が解答し返信する仕組みだ。
どうやって撮影や外部とやり取りをするか。小型カメラを内蔵したメガネ、飲み物OKの試験会場では小型カメラを内蔵したペットボトルで撮影、無線で外部に送信していた。
正解はメガネや消しゴム、腕時計に内蔵された小型液晶モニターで受信していた。こうしたハイテク機器は数千円で売られているという。
ハイテク機器と利用した不正受験に対し、中国では電波を拾う探知機を使ったり、試験会場のすべての携帯電話を『圏外』にする機器も利用されている。
若者に追いつけない大学の危機管理
キャスターの小倉智昭「どう思いますか」
竹田圭吾(ニューズウィーク日本語版編集主幹) はこう見る。
「誰が一番不利益を被るかというと、大学は業務を妨害されるということもあるが、不正受験者の合格によって不合格になる他の受験生だ。
韓国や中国でこういうことが起きていることが分かっているのに、なぜ大学が管理しなかったか。監督不行き届き。監視カメラを導入するなど対策をとっていれば起きなかった。大学の責任が問われても仕方がない」
教育評論家の尾木直樹もこう話す。
「決して(不正は)許されることではないが、大学の危機管理も足りなかった」
小倉「時代の進歩、技術の進歩とともに、こういう不正が出てきちゃうんでしょうね」
ハイテク機器を使いこなす若者に大学のオジサンたちの想像力が付いていけなかったということだろう。