3万人を超えるランナーが駆け抜けた27日(2011年2月)の東京マラソン。市民ランナーで埼玉県の公務員が日本人最高の2時間8分37秒で3位に入り、世界選手権代表の切符を手にした。キャスターの小倉智昭がオープニングトークで、実業団チーム顔色なしのこの話題を取り上げた。
快挙を成し遂げたのは川内優輝(23)。埼玉県教育局から県立春日部高校定時制の事務職員に出向している。2時間10分の壁を破ったのは日本人としては3年ぶりで、実業団チームに所属していない市民ランナーが出したのだから驚きだが、どんな練習をしていたのか。
勤務時間は午後12時15分から夜9時15分まで。練習は出勤前の午前中2時間ほどを近所の公園で走るほか、休日は山などで練習しているという。卒業大学は小倉が「この大学を出た長距離ランナーって誰も思い浮かばないねえ」という学習院大学。
箱根駅伝は6区―下りには強かった
ところが、コツコツと練習を積み重ね、あの箱根駅伝にも「学連選抜」で2007年と09年の2回、山下りの6区に出場している。この時の成績は6位と3位で結構強かった。たしかに、きのうも4位以下を突き放したのは最後の2つの下りだった。
昨年は福岡国際マラソン(10位)と東京マラソンに出場、東京マラソンでは2時間12分36秒で4位入賞、頭角を現した。
実業団からの勧誘もあったが、自分流の練習が合っていると思い断ったという。といっても気楽に走っているわけでもない。「マラソンで死んでもいいと思い走っている」と言うように、この人はいつも倒れ込みながらゴールする。
夏野剛(元NTTドコモの執行役員)「今のスポーツ競技は小さい時から鍛えられないとなかなか芽が出ない形になっている。あとから尻上がりに伸びてくる選手がいると元気になります」
今夏、韓国の大邱で行われる世界選手権ではどんな自分流の走りを見せてくれるか、楽しみ。