<1年前のワイドショー通信簿>アメリカの運輸省は2月9日(2011年)、トヨタ自動車の大規模リコールの根拠とされた電子制御システムに「欠陥は見つからなかった」とする最終報告を発表した。「トヨタ車はブレーキがきかなくなる」「アクセルを外しても加速しつづける」と大騒ぎしたのは濡れ衣だったわけで、激しいトヨタバッシングを忘れたかのような厚顔ぶりだった。
1年前のこの時期、米国議会はトヨタの豊田章男社長を公聴会に呼び出し、まるで殺人自動車を売っているかのように追及、豊田社長は米国工場の従業員の前で涙を流したほど悔しがった。あまりにも短兵急なやり方に、米国内でもリーマンショックで経営破綻したGMを守るための言いがかりという見方が強かったが、日本のワイドショーは腰が定まらず、豊田社長が米議会をなだめられたかどうかという点ばかりを取り上げていた。
「豊田社長が見せた『アメリカ式』公聴会の反応は?」(フジテレビ系とくダネ!)、「トヨタ公聴会 社長は『乗り切ったのか』」「豊田社長の涙 アメリカの敵意と応援」(TBS系「朝ズバッ!」)と、日本の視聴者が切歯扼腕しているというのに、米政府の「欠陥指摘」を検証することなく、パフォーマンスばかり追っていたのだ。
果たせるかな、米政府の豊田叩きは秋の米中間選挙が終わったら終息、「トヨタ車の乗るな」などと発言していたラフード米運輸相は、ケロッとして「娘もトヨタ車を買った」などと、今度はトヨタの宣伝役まで買って出ている。トヨタは米政府と議会に、イメージダウンによる損害の賠償を求めてもいいように思うが、日本のワイドショーは米政府が「トヨタはシロ」の最終報告をしたことをほとんど伝えなかった。(テレビウォッチ編集部)