ニュージーランド・クライストチャーチを襲ったM6.3の地震は、市街の中心部を壊滅状態にした。古い教会は多くがレンガ造りだったため崩壊、一般家屋でもカベが落ち、屋根がつぶれて原型をとどめていない。
現地に奥平邦彦・取材キャスターが入り被災の様子を伝えた。市の中心部は建物崩壊の恐れから立ち入りが規制されていて、奥平のレポートもかなり離れたところから。日本の国際緊急援助隊が到着したが、その活動の様子を見守ることもできないようだ。
語学学校「キングズ・エデュケーション」が入っていた6階建てのビルにはまだ100人が閉じ込められているという。研修中だった生徒たちは、4階のカフェテリアで昼食中だった。床が抜け、落ちていくとき天井が迫ってくるのが見えたと救出された人たちは言う。よく助かったものだ。きのう朝(2011年2月23日)に救出された奥田建人さん(19)は、はさまれていた右足の膝下を切断せざるをえなかった。本人は「仕方がない」というが、がれきの中で研修生たちが互いに励ましあっていた様子を冷静に話した。
これまでに、富山国際語学学校の13人が救出されたが、なお同校の10人が不明。この他にも、金沢、奈良などからの研修生がいたことがわかり、日本人だけでも27人が不明だ。
地盤も新しく脆弱
それにしても、レンガ造りが部分的に形を保っているというのに、なぜ近代建築のビルが全壊したのか。写真をもとに専門家は、1960年代の建物でコンクリートに鉄筋が入っていない、柱の数が少ないなどを指摘した。このため、エレベーターのコアがある壁面の強度とのバランスがとれず、振り回されるように倒壊したのではという。地盤が3メートルほど沈んだという情報もある。
クライストチャーチは語学研修に人気の町だった。ガーデンシティーを呼ばれる美しい町で、人々もやさしく物価も安い。3か月未満ならビザもいらないため、若い人だけでなく、定年後の人たちも多いという。
ただ、地盤は弱かったようだ。昨年9月の地震の調査をした東大生産技術研の清田隆准教授は、「海に近く新しい時代の地盤。今回は震源が数キロ、深さ5キロと近かったために、表面のゆれが大きくなった」という。
司会のみのもんたは「東京なんかも液状化が心配されるんでしょ?」
今回の揺れは先の新潟地震と同じくらいともいうが、清田氏は「問題は耐震性で、日本の場合は火災の懸念も大きい」と話す。
発生からすでに丸2日が過ぎた。緊急援助隊が持ち込んだ最新機器が活躍することを祈るばかりだ。