『砂漠の狂犬』が国民に噛みついた。日本時間23日未明(2011年2月)、リビアのテレビにカダフィ大佐(68)の映像が映し出されて始まった演説で、声を荒げ「国民分裂をしようとする者は死刑、死刑にする!」と吠えた。
笠井信輔アナが「国家元首という立場の人がこんなことをなぜ言えるのでしょう。北朝鮮のテレビでもこんなこと見たことない」と言いながら、演説の詳細を報じた。
まず、笠井が注目したのは演説直前に映し出された首都トリポリにある緑の広場の映像。そこにはカダフィの肖像画を掲げ、緑の旗を振りながらデモをする群衆の姿があった。
字幕には「現在の緑の広場」とあるが、現地時間午後7時にしては明るすぎる。映像が切り替わり、右手に緑の表紙の本を持ったカダフィが登場して演説は始まった。
「カダフィは革命のリーダーだ。私は他の国の大統領のように辞任することはない。いま麻薬中毒者の若者があちこちの警察署を攻撃して破壊行為をしている。まるでネズミのようなものだ。国民分裂をしようとするものは死刑、死刑にする!」
右手に持ったこの緑の表紙の本が、憲法を持たず、選挙もない独裁国家で、カダフィ自らが書いた悪名高い私設憲法『緑の書』。これをもとに秘密警察が目を光らせ、政治犯の拷問、処刑が日常手に行われてきたという。
外国人が病院で医療機器破壊
民衆デモはどうなっているのだろうか。エジプトに脱出したリビア人はこう話す。
「カダフィは国民を無差別に殺害している。空爆だけでなく、100万人ぐらいの外国人労働者が病院に入って、医療機器や輸血用の血の入ったバッグを壊したり、盗んで逃げている」
砂漠の狂犬のニックネームどおり、これもカダフィが雇ってやらせているのだろうか。中東のテレビ局「アルジャジーラ」の報道では、死者が519人以上にのぼっているという。
コメンテーターのデーブ・スペクター(プロデューサー)「この人の性格が正常でないのに、これまでなだめたり擁護したりしてきたアメリカやイギリスがいけないんですよ」
今後の『狂犬』の動きについて、カダフィと会談したことがある国際開発センターの畑中美樹研究顧問は次のような感想を語った。
「軍が2つに割れて内乱状態になり、最終的には市民側についた軍が勝利する。2、3日でカダフィ政権は崩壊するのでは」
その間にも市民への無差別攻撃は続く。