今後も噴火が続きそうな九州の霧島連山・新燃岳。火口に大きな溶岩溜まりが出現し、周辺には大量の火山灰が堆積している。爆発噴火や多量の雨が降れば、これらが大規模な土石流や溶岩流となって近隣市町村を襲う。その備えはできているのか。「クローズアップ現代」は新燃岳周辺だけでなく、全国的に災害復旧態勢が弱体化している現状を取り上げた。
公共事業減り「復旧協定」重荷
キャスターの国谷裕子は「これまでは各自治体と地域の建設業者の間で災害復旧協定が結ばれ、何かがあったときには地元建設業者を中心に復旧態勢が作られてきました。でも、公共工事の削減や業者間の競争でなどにより、自治体と「災害協定」を結ぶ全国の建設業者の数は、この10年で3分の2に激減。災害対応に必要な重機を自社で保有する業者も減っています」と伝えた。
昨年12月(2010年)には、全国建設業協会が国交省に「全国で『災害対応空白地帯』が生まれている」と支援を訴えた。ある地方の建設会社社長はこう話す。
「公共工事が減れば、災害対応の重機も人も重荷になる。仕方がないが切らざるを得ない」
ゲストの関西大学社会安全学部部長の河田恵昭教授も悲観的だ。「今後も災害への対応能力は下がると考えられます。公共事業の削減で地元建設業界には利益が取れない構造になってしまった。パイが小さくなり、金の流れが止まってしまった」