菅政権の3月危機説がいよいよ現実になってきた。身内のはずの衆議院議員16人が会派離脱を表明し、2011年度予算案の要である特例公債法案などの予算関連法案の採決で造反する構えだ。菅首相のわき腹に匕首を突きつけた。16人組の狙いはどのあたりなのか。16人を代表して、渡辺浩一郎議員がこんなふうに話している。
―予算関連法案に対する姿勢は?
「中身を精査して判断したいと思っている」
―離党でなく離脱の理由は?
「マニフェストをきちんと実行していかなければいけないという意思を持っており、離党してしまったら何もならない」
16人の共通点は何か。まずは親小沢。渡辺議員は「党のあり方、マニフェストの見直しが大変問題で、小沢さんをどうのこうのと言うではない」と、政策論での離脱を主張するが信じる人はいまい。
次に、小沢元代表が仕切った09年の衆院選で、民主党に吹いた追い風に乗って比例代表名簿順位の下位にいながら当選した「棚ぼた組」と呼ばれる議員ばかり。たとえば、渡辺議員は東京ブロック30人中29位、豊田潤多郎議員は近畿ブロック52人中51位、笠原多見子議員は東海ブロック41人中34位。逆風の中で解散・総選挙になれば、もはや当選はできないといわれている。
いま刃向かえば再選の目も
知名度アップや実績をつくる機会も与えられないまま、ハシゴを外されてたまらない。数の『力』を最大限に発揮できるのは今しかないと思うのは当然だろう。
その具体的狙いをフジテレビの和田圭解説委員が次のように説明した。
「小沢さんの側近によると、16人の行動は小沢さんの処分に対する菅執行部への牽制が一つ。菅さんを総辞職に追い込みたいという思惑があるという」
キャスターの小倉智昭「正直言って、16人の名前と顔が一致しない。しかし、菅さんは『考えられないことですよ』と笑っていますが、笑っている場合ではないと言いたいですね。一番の造反の原因は何ですか」
これに時事通信政治部の田崎史郎が答えた。
「菅さんの指導力、支持率が落ちていますから、刃向っても怖くない。むしろ、刃向った方がプラスになることの方が大きい」
小沢の党員資格停止処分で攻勢をかけた菅執行部と、反撃に転じた小沢グループの党内闘争は分裂含み。さて、3月は菅退陣か、ヤケッパチ解散か、民主党分裂か…。