給油に往復100キロ―ガソリンスタンド過疎化で村が消える

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   「私たちに死ねということですか」というショッキングな住民の声から始まった。地方における人口減少・過疎化は、日常生活に欠かすことができないさまざまな物やサービスの縮小を急速に引き起こしている。その象徴がガソリンスタンドの廃業だ。2009年度の1年間に全国1733か所のスタンドが消滅。とうとう平成になって最多となった。

   キャスターの国谷裕子は、「公共交通手段が乏しい地域ではクルマを欠かすことができず、ガソリンスタンドが姿を消すと暮らしに大きな影響が出ます。これらの地域はガソリンスタンド過疎地と呼ばれ、一つの市町村でスタンドが3つ以下の地域が全国で222を数えています。しかも、これは3年前の調査で、現在はさらに増えています」と、ガソリンスタンドの廃業が急ピッチで進んでいる現状を報告した。ただでさえスタンドが少ない地方では、ガス欠車が増加したり、給油のために遠出を強いられる高齢者が増えている。

耕耘機も稲刈り機も動かせない

   「クローズアップ現代は」スタンド過疎化地帯の現状をレポートした。最初に紹介されたのは北海道・十勝地区。地区内を走る国道273号線には「ガス欠注意」の看板が目立つ。120kmにわたってスタンドがなく、地域に住む人たちは往復100kmの道のりを走って給油しなければならない。次にレポートされたのが青森県の黒崎地区。スタンドの消滅で耕運機や稲刈り機に必要なガソリンや軽油の補給もスムーズにできなくなり、農業にも深刻な影響を受けている。

   エネルギー問題が専門の小嶌正稔(東洋大学教授)は候指摘する。「現在営業中のスタンドでも、半数近くが赤字経営になっていると思われます。このままいけば、ピーク時に6万軒あったスタンドが2万軒近くまでに激減するでしょう」

   その理由として、スタンドの地下に埋設されている貯蔵タンクの老朽化を上げ、交換に莫大な費用が掛かることが大きいと語った。また、セルフと有人スタンドの間で、ガソリン価格やコストなどで格差が拡大しているとも指摘した。

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