今朝(2011年2月9日)の「とくダネ!」の相撲八百長報道は、見通しが立たない逆境の角界の中、相撲部屋へ今春入門が決まった2人の少年を追った。
キャスターの小倉智昭が「苦しい時期に入門の決意をした。応援したいね」に、プロデューサーのデープ・スペクターも「感動しますね」とエールを贈ったが…。
相撲を通して恩返し
その1人、山口県下関市にある県立響高校を今春卒業する17歳の天野光稀くんは境川部屋への入門が決まっている。中学時代から境川部屋に稽古へ出向いて入門を夢見ていた。ようやく夢がかない春場所では初土俵を踏むはずだったが、そのデビューもいつになるか見通しは立たない。8日には壮行会が学校で開かれたが、出席した境川親方がこんな挨拶をした。
「今われわれは、全国の皆さんにいくら謝っても申し訳ない気持ちでいっぱいです」
そして、こうも語った。
「こうした逆境の中で、不安な気持ちを抱きながらブレないで(入門の気持ちを)貫いてくれた気持ちに涙が出ます」
天野は「お世話になった方々に相撲を通して恩返ししていけたらいいなと思っています」と挨拶、夢を追い続けている。
真剣に打ち込んでいる姿知ってる
もう1人、山形県白鷹町に住む15歳の斎藤亨将くん(中学3年生)も高田川部屋に入門する。相撲部屋暴行事件や大麻、野球賭博と相次ぐ不祥事で、周囲の人はみな大反対だったが、ひとりすすめたのは父親だった。
身長184㎝、体重140kg。バスケットボール部に所属していながら陸上の選抜チームに抜擢され、県大会の砲丸投げで13m38を出し優勝、運動神経は抜群だ。
そんな恵まれた息子の体力に、父親は「からだの大きさと秘めたポテンシャル(潜在能力)を生かせば…。それが通用するスポーツは相撲ではないか。その期待感で」すすめたという。
斎藤は昨年12月に高田川部屋へ1週間の体験入門をした。その時の感想を次のように話した。
「ぶつかりの時に『バーン』というすごい音がする。テレビで聞くのと音が違う。鉄砲にしろ、ぶつかり稽古にしろ、真剣味があり、命を懸けているなとすごくよく伝わってきた。
八百長は一握りの人。真面目に頑張って真剣に打ち込んでいる人の姿があったから、八百長の話を聞いても動じなかった」
2人は4月から相撲教習所で6か月間の訓練に入る。
最後に女優の高木美保が次のように角界を叱咤した。
「これまで相撲って曖昧なところに存在していたなと思う。一人ひとりに必要な自己責任能力とか自浄能力がなくて、失礼な言い方かもしれないが、部屋とか親方を頂点に飼われているような感じがした。
2人は自分で決断して入門した。その彼らの自立した決断力や目標をつぶさないようにしてほしい」