愛知県と名古屋市の行われたトリプル選挙は、名古屋市長選・河村たかし(名古屋前市長)、愛知県知事選・大村秀章(元衆院議員)が圧勝した。名古屋市議会のリコールも成立。どれも票数でいうとトリプルスコアで、民主党などが立てた対立候補を粉砕した。
河村は「名古屋のみなさんが、お上下々社会に重い扉を開けて、民主主義の時代へ一歩踏み出した歴史的な日だ」と、例の調子で語る。河村は10%恒久減税が公約だったが、市議会との対立で実現を阻まれたため、議会リコールを求める署名運動からスタート、地域政党「減税日本」を立ち上げ、自らも市長を辞職して出直し、大村と「減税共闘」を仕組んだ。
ねらいはむろん市議会での多数だ。リコール成立で即日議会は解散となり、選挙は3月。「減税日本」はこれに過半数を獲得するだけの候補者を立てるが、減税の他に議員定数の削減・報酬減をかかげているから激しい戦いになりそう。橋下大阪府知事の「大坂維新の会」とも連携している。
選挙戦最後の演説はお寺境内
選挙戦最後の土曜日夕方、みのもんたが名古屋を訪れていた。あと1時間半という時間帯。河村が街頭で演説をしている。
みの「声がかれてないね」
人の中に入っていくスタイル。人数は多くないが、みんな動かない。
対立候補の石田芳弘氏(民主など推薦)は名古屋駅前広場だ。
みの「かなり違うね。どこが違うといえないけれど」
要するに、スーツを着た人が多く組織だってる。対して、河村の方は普通の市民だった。
河村、最後はお寺だった。200人から集まって大変な熱気。そこに妻の名帆子さんの姿を見つけて声をかける。終わって河村にみのが聞く。「なんでお寺なの?」
河村「小さいとき柿泥棒やって育ったから、お礼もありますし…」
議員が民主主義の代弁者になっていない
投開票翌日のこの朝(2011年2月7日)、「朝ズバッ!」のスタジオと河村を生でつなげた。
河村「職業政治を変えてくれという市民の強い期待を感じますね」
共同通信の柿崎明二記者が「市議会で河村さんの党が過半数をとったら、市長と議会の二元性がなくなるのでは?」
河村「根本的に間違っとる。議員が民主主義の代弁者ならいいが、いまの党議拘束はアメリカなら違法ですよ。『減税日本』は3つ(減税、議員定数、報酬)だけはリコールもやってきたから(縛りが)あるが、議員がボランティア化してくれば、党議拘束なんかなくなる。職業政治家を変えようということ」
杉尾秀哉(TBSテレビ報道局解説・専門記者室長)「起債発行しながら減税するというのは矛盾してないか」
河村「総務省の許可がちゃんと出ている。起債の残高と減税とは無関係。ちゃんと理解してもらわんといかんよ」
みの「これから何をやる?」
河村「責任ある減税というスローガンを日本中に広げていくことですね」
みの「河村さんの陣営には、これから市議会でやるという人がいた」
河村「そういう人たちが出てきた。これまでは偉いさんがやっていたけど、オレたちが庶民の政治をと。これで現職が当選したらどうにもならん。ここがポイント」
これがお上に従順といわれた尾張・名古屋の選挙かという驚きはたしかにある。名古屋が変われるのなら、日本が変わるのは簡単かもしれない。