きのう(2011年2月2日)の両国はひっくり返るような騒ぎだった。八百長疑惑で、今度は動かぬ証拠が出てきたのだ。力士たちのケータイのメール。昨年の野球賭博で警視庁が押収したものだった。
「すぐはたかないで、突っ張るだけ突っ張らして、最後は投げがベストだと思う」 「星を返してくれ」「こいつから星借りてるよね」「こいつには貸しだっけ、借りだっけ」
20、30と金額や振込先をうかがわせる書き込みもあった。
昨年5月の十両・清瀬海と春日錦(現竹縄親方)とのやりとりは生々しい。
清「立ち会いは強く当たって流れでお願いします」
春「了解いたしました。では流れで少しは踏ん張るよ」
清「来場所、もらえるならくれませんか。ダメなら20万は返して」
春「セイサンが終わったら連絡する」
計50件以上。取組の結果もメールの通りだった。
これまでに13人の名前が出ており、相撲協会はきのう、このうち12人を呼んで事情を聞いた。一部報道では、竹縄親方、十両の千代白鵬、三段目の恵那司が八百長を認めたといわれる。
緊急理事会のあと、放駒理事長は「必ずしも全員ではないかもしれないが、ファンへの裏切りであり、厳重に調査して、もし事実が判明したら厳しく処分する」と話すが、「過去には一切なかったと認識している」と付け加えた。
動かぬ証拠が先に出てきた
大相撲の八百長については、これまでにもいろいろ取り沙汰された。2000年には元小結・板井圭介氏が「現役時代は80%が八百長だった」と発言(協会は全面否定)。3年前には「週刊現代」が朝青龍の八百長疑惑を報じた(協会が講談社などを提訴し勝訴)。07年にも週刊現代が宮城野親方が八百長を告白したテープがあると報道(親方は否定)した。
今回はこれらと違って、証拠が先に出てきた。相撲評論家の中澤潔氏はこう話す。
「これまでもうさんくさい話はあったが、協会は八百長はないとの立場で、調査もしなかった。動かぬ証拠の第1号です」
司会のみのもんた「部屋の教育は厳しいんでしょう」
中澤「そのはずだが、最近は外国人力士までが八百長という言葉を知っている。そういう空気がみなぎってるということ」
みの「おかしいなとわかるもんですか」
元関脇・巨砲「だいたいわかりますけど、逆に緊張で足滑らしたりもある。見極めはむずかしい」
三屋裕子(スポーツプロデューサー)「十両と幕下では給料も違うんでしょうけど、本気でぶつかっていると思っていたのが、違うとなると…」
中澤はさらに「危機意識が感じられない。「八百長と思われたら興業がなり立たないのに」と言う。
相撲協会の特別調査委員会(伊藤滋座長)が13人の聴取と全力士へのアンケートをまとめ、結果を6日の理事会に出すというのだが、いったいどうなるか。