ムバラク大統領の退陣を求めて市民の抗議行動が激しさを増すエジプト。日本時間の2日朝6時(2011年2月)に大統領がテレビ演説で退陣を表明した。これで混乱も収束へ向かうということでもなさそう。演説が火に油を注ぐ可能性があるという。
「とくダネ!」はフジテレビ・カイロ支局の岡崎寛行支局長と電話をつないで現地の模様を伝えた。
演説の中でムバラク大統領は「(9月に予定されている)新たな大統領選挙の候補者になるつもりはなかった。大統領選挙の時期を早めたい。私はエジプトの地で死ぬ」など述べた。ムバラク大統領は大統領選不出馬は当初から決めていたことで、デモに屈したわけではないということを強調したという。
近いうちに「国外追放」
不出馬表明の裏でアメリカが露骨に動いていた。「エジプトは見解や体制を変えねばならない」(ギブズ大統領報道官)とムバラク政権を見限り、これを受けてエジプト軍が反政府デモ容認に転じた。しかし、不出馬表明を手の込んだ「延命策」と見る市民は、「即時退陣」を求め、事態が収束する兆しはないという。
キャスターの小倉智昭「大統領選の時期を早めると言っているが、法的な縛りがあって、有力候補とされる人たちが立候補できないという話が伝わっていますが?」
岡崎支局長「後継候補として、擁立論が根強い民主化指導者のエルバラダイIAEA前事務局長は、いまの憲法の規定では立候補できません。演説でムバラク大統領は、大統領選の出馬規定を緩和することも視野に入れながら野党勢力との対話を呼び掛けているが、具体的な話はない」
今後の行方について、アラブ情勢に詳しい放送大学の高橋和夫教授(国際政治)はこう解説する。
「ムバラク大統領が辞めるまでデモは収束しないだろう。数週間以内に軍が動く可能性があり、大統領のメンツをつぶさずに国外追放するのでは。国外退去後に公正な大統領選挙が行われるかも…」
小倉がタメ息まじりに話す。
「国家の実権を長いことやっていると、こういうことになっちゃうんですね」