英国はがん登録制度で長期ケア
元国立がんセンター総長の垣添忠生さんは「晩期合併症が起こる可能性をはっきり伝え、ケアする必要がある。数が少ないから、集約化して専門的な対応をすることだ」という。
その実例が、10年以上前から実施しているイギリスだ。中部の拠点病院「バーミンガム小児病院」では、地域の小児がんのこどもを集めている。治療が終わると晩期合併症のリスクをきちんと伝え、長期フォローアップに入る。これを可能にしているのががん登録制度だ。
治療を受けた1370万人のデータと定期検診によってリスクを予測し、個々の患者に合った長期のケアができる。「子どもたちが自分らしく生きられるように国が支えるべきだ」と医師は言う。
ある若い女性の話がよかった。小児白血病の治療の合併症で低身長のうえ、17歳で脳腫瘍を発症した。しかし、フォローアップのお陰で早期発見・治療に成功。今月から看護師として小児病院で働く。
「やりたいことができて幸せです」
がん登録は日本では可能だろうか。垣添さんは「がんの現状把握・対策に重要だが、個人情報保護法がかべになっている。個人情報は秘匿して、がんの情報は集めるようにすべきです」と話す。
医療の技術では日本は最先端だと思っていたが、哲学の構築では10年以上の遅れがあるとは驚いた。自殺した青年が本当に痛ましい。
ヤンヤン
*NHKクローズアップ現代(2011年1月31日放送「小児がん 新たなリスク」)