1月26日付の朝日新聞で、コラムニストの天野祐吉氏がこういっている。
「面白い」というのはげらげら笑えるということではなく、「今まで気づかなかったものにスッと気がつくことですね。そのとき雲が切れて、向こうから光が差し込んできて、面が白くなる。それを昔の人は『面白い』といったんですね」
ひとつ利口になった。
また、CMというのは「その時代のぼくら大衆の欲望や気分をいきいきと映しとってるんですね。時代の空気の記録係」だといっているが、雑誌にもそうした役割が少なからずある。
たとえば、戦前の庶民の暮らしを知るためには、新聞のような官製の発表記事では、庶民の本音や遊び、風俗といったことを知るのに十分ではない。雑誌、とくに戦後にできた出版社系の週刊誌には、庶民の本当の姿が息づいていて、古い週刊誌を読み始めると寝食を忘れてというのはオーバーだが、読み耽ってしまう。
ひるがえって、今の週刊誌は時代の空気を庶民の本音を伝えているのだろうか。昨年の書籍・雑誌の推定販売額が1兆8748億円だと、出版科学研究所が発表した。前年比で3・1%の減少である。なかでも週刊誌が5・2%減で、「週刊誌離れが加速している」(朝日新聞1月25日付)という。
「週刊現代」がこのところ頑張っているとはいうものの、週刊誌全体では危機的状況が続いている。毎週ほとんどの週刊誌に目を通しているが、天野氏のいうような「面白い」記事が少なく、庶民の本音を記録するのではなく、編集者の意見の押しつけのような記事が目立つ気がしてならない。
老婆心だが、週刊誌の現場の人たちは、原点回帰、面白い記事とはなにかを真剣に考えるときだと思う。
戦略なく相手の言うこと聞いてるだけ
さて、週刊誌の楽しみは、じっくり読める大特集があればいいが、それがないときは拾い読みして知識(?)を集積することもひとつである。
数多ある小沢一郎もののなかでは、「週刊文春」の小沢インタビューの中に、日中関係に触れた発言に注目。
「根本の問題は、中国もアメリカと同じで、腹の中では日本のことをバカにしきっていて相手にしていないことです。なぜなら、日本は揉み手して相手の言うことを聞いているだけで自己主張せず、戦略もないからです。特に大陸の人々は、自己主張のない人間をすごく軽蔑するんですよ」
「週刊新潮」の「『小沢一派』涙目の覆面座談会」は、小沢派と見られている新人、若手、中堅議員などを集めて本音を語らせている。今の菅と仙谷の小沢潰しは「あさま山荘」のようで、集団リンチを受けているようだと弱音を吐いている。なかに小沢と酒席を共にした若手議員が、小沢がぼそっとこうこぼしたというのだ。
「オレがまだ若ければ、自民党に行って、自民党を立て直してやりたい」
中堅議員は小沢派にも人材がいないことを嘆き、「親父は寝首を掻きそうな優秀な人間を傍に置かず、次世代を育ててこようとしなかったから。自業自得とは、口が裂けても言えんけどな」と語っている。意外にも菅・仙谷の小沢殲滅作戦は成功しつつあるのかもしれない。
現代では大特集「ボケてたまるか」のなかで、100歳まで「頭キレキレでいるための生活習慣」として、ポリフェノールやDHAの含まれている食品を食べることはもちろんだが、ラーメンの食べ過ぎに注意せよと警告している。
「オランダで行われた大規模な疫学調査では、ビタミンEとCの摂取量の多い人は、アルツハイマーの発症率が低いことが確かめられている。『ほかにも、ラーメンや脂っこい料理に多く含まれる飽和脂肪酸をたくさんとっていた人ほどアルツハイマーになりやすいというアメリカの調査があります』(白澤卓二氏)」
やっぱり、親しい仲間と居酒屋で野菜中心のつまみで楽しく呑むのがボケにもいいようだ。これを書き終えたら呑みに行こう!
ダル・古閑「連泊愛」慰謝料高いぞ!
「フライデー」がスクープ撮した日ハム・ダルビッシュ有と人気女子ゴルファー古閑美保の「連泊愛」が話題になっている。ダルと古閑が合同自主トレをやり、夕食を終えた二人が毎晩のように古閑の部屋に入り、朝まで過ごしているというのだ。
この話を新潮・文春が後追いしている。文春はダルビッシュから、一緒にランニングメニューをこなしたら答えるといわれ、記者がヘロヘロになりながらインタビューには成功している。
ダルが「ぶんしゅん‥‥。どんな雑誌なんですか?」と聞いているのが笑えるが、本件については「お互いにアスリートとして尊敬しているだけで、男女の関係もない」と全否定。紗栄子夫人との泥沼離婚調停中のダルだけに、この「不倫行為」が事実なら慰謝料に影響しないわけはない。一方の紗栄子夫人のほうも、ロスで北島康介との噂もあるようだが。
その他では、リンゼイさんを殺して2年7か月逃亡し、整形までした市橋達也被告が書いた本も話題だ。潜伏していたオーハ島(沖縄の久米島からモーターボートで約15分かかる無人島)ルポを新潮・文春がやっている。私は未読なのだが、不思議なのは、両誌にもなぜリンゼイさんを殺したのか、そもそもの動機が書かれていない。本にはないのだろうか。
やはり両誌が取り上げているものに「幸福の科学」大川隆法総裁と妻・きょう子さんの離婚トラブルがある。きょう子さんは教団のナンバー2であり、信者からは「美の女神」と崇められていた。その彼女が、離婚裁判まで行ってしまった理由は「彼の女性問題が原因なんです」(文春)とインタビューに答えている。
この教団とは、私がフライデー編集長時代、訴訟合戦になったことがあったが、その後も比較的順調にきていたようだった。信者に大量に買わせるのだろうが、大川総裁の本がベストセラーになり、最近では、選挙に多くの候補者を出して話題になった。だが、ここへきて総裁をいちばん良く知る夫人が、女性問題だけではなく、夜中に突然起きて何枚もの霊言を書きなぐるので、「正直、彼を病院で一度診てもらった方がいいのではないかと思ったこともあり、私なりに悩み苦しみました」(文春)とまで告白しているのだ。
もちろん教団の広報は、女性問題を含めて否定している。「お布施だけで年に約300億円も集まります」(新潮)という新興宗教教団に起きたスキャンダルはどう進展していくのか。私ならずとも無関心ではいられないはずだ。