性犯罪前歴者にGPS義務化―再犯防止効果やっぱり大きいが…

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   犯罪防止か人権侵害かでいま宮城県が揺れている。「スパモニ」が取り上げたのは、県の有識者懇談会で議論されている性犯罪に対するGPS携帯義務化だ。

   宮城県では性犯罪前歴者やDV(家庭内暴力)の加害者を対象にGPS携帯を義務化し、警察官が24時間監視することを考えていて、将来的には条例化を検討中という。

   たしかに性犯罪の再犯率は他の犯罪より高い。2010年度版犯罪白書によると、強姦前歴者の再犯率はもろもろの犯罪を合わせた再犯率が38.4%、なかでも強姦の再犯率は9.4%と殺人などの再犯率に比べ高い。

韓国「電子足輪」で成功

   韓国では2008年9月から義務化され効果が出ているという。方法は「電子足輪」と呼ばれるGPS携帯だ。重さは150g、完全防水、要充電の携帯端末とセットになっている。

   装着が義務付けられているのは、性犯罪者(仮釈放も含む)や未成年の誘拐犯、殺人犯の各前歴者で、刑の軽重にもよるが、裁判所の判断で最長30年の義務が課せられるという。

   電子足輪を外したり、立ち入り禁止区域への侵入、故意による破損、逃亡などの違反をすると、7年以下の懲役、2000万ウオン(約150万円)の罰金などが待っており、中央管制センターが常時対象者の足取りをチェックしている。

   効果はてきめんで、08年9月から10年11月までのほぼ2年間に、810人の対象者のうち再犯者は1人だった。

   『性犯罪にあうということ』の著書がある小林美佳は「被害者に根本的な安心感を与えることが期待できるのではないか」と義務化導入に賛同する。

負担続く二重刑罰

   しかし、そう簡単なことか…。スタジオでは、小木逸平アナの「日本で義務化となると、人権上や二重の刑罰になるなど様々な問題があると思うのですが」と話し、元検事で弁護士の大澤孝征が次のように答える。

「一定の負荷をかけるわけで、刑罰の一種と考えられる。刑を償った人がそうした負荷をずっと持ち続けていいのか、更生のために役立つのかいろいろある。
私は再犯防止のために一定の役にはたつと思うが、十分に検討しないでいきなりやるのは問題だと思う」

   韓国のケースについて、作家の落合恵子は「韓国の場合、これだけじゃないんですよ。子供たちに対する教育とかあらゆる面からアプローチし、電子足輪が加わったと取るのが事実に近いと思う」と話す。

   刑罰仕組みの根底にかかわるうえ、人権上の問題も大きい。再犯率が高いからというだけで、一地方自治体の議論で条例という形で規制強化していいのどうか。他都道府県の前科・前歴者が宮城県に入ってくることにはどう対処するつもりなのだろうか。

文   モンブラン| 似顔絵 池田マコト
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