菅政権の正念場となる通常国会がいよいよ今日(2011年1月24日)から始まった。ところが、委員会人事をめぐり、民主党執行部と小沢支持派の抗争が一段と激化しそうな様相になっている。
民主党執行部は通常国会の委員会人事を決めたが、注目度が高い予算委員会で、民主党委員32人のうち10人ほどいた小沢支持派がほぼ一掃され、小沢支持派から「粛清人事」との批判が噴出しているという。
この人事の背景には、政倫審招致を断念した執行部が、次の手立てとして念頭に置いている小沢元代表の証人喚問があるという。 執行部は予算委で証人喚問を議決する事態を想定し、小沢支持派議員を排除したという見方だ。
増税と社会保障カット
増税推進派の与謝野経済財政担当相の年金発言が波紋を呼んでいる。与謝野は新成長戦略実現会議でこう話した。
「人生90歳と考えた場合、定年延長や年金支給開始年齢の引き上げも検討すべきだ」
波紋の大きさに驚いてか、与謝野は23日になって「中長期的課題だ」と言い直している。 この与謝野発言に作家の吉永みち子が吠えた。
「歳入を増やすという時に、増税しか考えられないというのはいかにも貧困だ。増税しないで収入を増やす方法を考えてからでないと経済は良くならないし、われわれの気持ちがますます寒くなってしまう」
森永卓郎(経済アナリスト)も噛み付いた。
「基礎的財政収支はリーマンショック直前まで黒字化直前にきていた。この時、各国の中央銀行は資金供給を大幅に増やした。日本だけが全く増やさなかったので、円が少ないから円高になった。円高のおかげで日本の鉱工業生産が一番落ち込み税収がドンと落ちた。 経済成長を1%台半ばという与謝野さんの前提もすごくおかしい。名目成長率を3~4%にすれば、消費税を上げなくても財政再建はできるんですよ。赤字企業が黒字化し法人税も増える」
吉永「なぜ(円安に)しなかったのか」
森永「アメリカがドル安誘導を打ち出していて、それに気を使った。普天間基地問題と同じなんですよ。与謝野さんのように増税とサービスカットによって財政のバランスと取るのか、経済成長とムダの削減でバランスを取るのか、もう1度国民の信を問う必要がある」
政権交代から1年半、成長戦略を言うが、場当たり的に連呼するだけ。窮したあげく増税と社会保障の歳出カット。これなら誰でもできる。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト