雑誌のタイトルってなんであんなに面白いんだろうか。書店で手にしてなんだコレとクスリと笑えるもの。そりゃそうだ。いくらカバーガールでまずは表紙に目がいっても、購入の決め手は記事のタイトルになってくる。いわば、記事タイトルは雑誌の生命を握っているようなもの。
しかし、これは目で読むよりも耳だけで聞いたほうがよっぽど面白い。そう気づかせてくれた番組がある。毎週金曜日にFMラジオ「J-WAVE」で朝6時から11時半まで放送されているワイド番組「TOKYO UNITE」だ。1週間に発売された雑誌をいくつか紹介するコーナーがあって、MCのジョン・カビラさんが記事タイトルをあのカビラ節で読み上げていく。これが私の鼻と口からコーヒーを吹きあげさせ、アイライナーがググっとこめかみ当たりまでずれてしまうほど爆笑モノなのだ。
遅い朝、どんなに悲惨な状況になろうが、このコーナーだけは欠かさず聞かなくちゃと思えるほど価値がある。耳からウロコ的な発見。数多ある雑誌の中から、番組独自のチェックで、普段は手に取らないような雑誌の小さな記事を紹介してくれるところが嬉しい。
「肌ナチュ強eye韓流メイク」意味わかります?
雑誌はテレビと違い、十人十色の趣味嗜好に沿ってターゲットを絞り込める媒体。やはりそこには知らなかった世界がかなり展開されている。秀逸なのは女性誌。それも読者層がティーン向けと30代後半以降に向けた雑誌のタイトルの爆笑率が高い。
例を挙げると、「Seventeen」では「肌ナチュ強eye韓流メイク」。なんじゃそりゃ。どうやら女子高生にはK-POP美女のような美肌でアイメイクを強調したものが流行るらしい。さらに「放課後は友優先。デートより断然ガルトー派」とは何事? まったく分からなかったのが「ガルトー」。ガールズトークの略語らしい。
負けていないのが30代。「Domain」に「美人はみんな、地味ごはん」という記事があった。これ惹かれた。内容は一般の美人お姉さん(読モ的存在)たちは質素な自炊をしていて、これが美人への道なのだという、なんとも強引な企画。地味な料理も美人が食べていると言えば、なんだか不思議なほどにヒキがある。
記事タイトルといえば、なんといっても「小悪魔ageha」だ。2011年読者とモデルがやりたい髪型ベスト10を発表した号では、「偽バタコさん」、「寝グセ風、す極ゆる巻き」、「くらげハーフUP」。もうこうなると何が何だかさっぱり分からない。言葉だけ聞いていると、いったいどんな状況に髪の毛は進化を遂げていったのか想像すら難しい。ところが「ageha」だと妙に納得する。こんなタイトルをカビラ節で言われると、抱腹絶倒になるのはご想像いただけるだろうか。
NHKも「雑誌タイトル」コーナー
それにしても、雑誌の記事タイトルはもはや新たな日本語系統として確立されていると思えるほど、独特の路線をずっと突き進んでいる。某ギャル雑誌では、タイトル決めだけで何日も会議するという話を以前聞いたことがある。
そして、ついにあのNHKも雑誌タイトルから日本語を考える企画をやっていた。お昼時のワイド番組「お元気ですか日本列島」の中に、ことばおじさんの梅津正樹アナが日本語のおもしろみを伝えるコーナーがある。あるとき某アラサー雑誌を手に取り、「鉄板」を説明していた。アグレッシブな元ギャルだった女の子をターゲットにした雑誌と、落ち着いたナイスミドル的な梅津アナとの組み合わせがあまりにもミスマッチ。そこで「鉄板コーデ」の鉄板、「ガチバトル」のガチの意味を事細かに説明してくれていた。さすがNHK!さて、今年はいったいどんな新しい言葉が雑誌から生まれてくるのでしょうか。
モジョっこ