宮崎県の東国原知事がきのう(2011年1月20日)退任した。「どげんかせんといかん」で登場、まあ、これほどテレビに出た知事はなかったろう。しかし、その視線はまだ先を睨んでいるようで、いささか生臭くもある。
退任会見では、「政治経験も行政経験もない私を叱咤激励して、生み育て、鍛えてくれた」と県民に感謝の弁。最大の出来事は口蹄疫で、「29万頭の牛豚ちゃんを処分せざるをえなかった。申しわけない」と頭を下げたが、「マニフェストの8割近くを達成した」と胸を張った。
「白紙だが可能性排除しない」
取りざたされる都知事選については、「全くの白紙だが、全ての可能性を排除しな い」。さらに、1期だけで辞めることについては、「放浪の旅は子どもの権利。探さないで、もう少し待っていて、お父さん、お母さん、という心境です」と意味深な言葉を吐いた。
最後のスピーチは、県庁玄関で県職員や市民1500人を前に、「4年間は心の糧。心はいつも宮崎に、片足は宮崎に置いて活動していきたい」と話し、大きな拍手を浴びた。市民も「よくやってくれた」「せめてあと1期」と複雑な表情だった。
就任早々に「鳥インフルエンザ」にぶつかり20万羽を処分。その後、県職員の裏金問題、最後が口蹄疫だった。この間、ハッピを着て宮崎県の物産PRに飛び回り、週末はテレビ出演。県庁には観光バスが来るようになり、 東京、大阪のアンテナショップの売り上げは従来の3倍、13億7400万円(2009年度)に伸びた。
MCの加藤浩次が「1500人も集まるなんてすごい。また支持率もすごかった」 という。たしかに、就任直後が93.5%、鳥インフルエンザのあとは97.2%、09年7月に自民党から総選挙出馬の誘いがあって揺れたときだけ70.7%に落ちたが、口蹄疫のあとは89%だ。こんな知事はほかにいまい。
キャスターのテリー伊藤「名古屋の河村さんや大阪の橋下さんなんかは敵を作るやり方。東国原さんは敵を作らない。都知事選に出ると思うけど、一国 (首都?)ですよね。セールスをするのとは違う。どんな出方をするか、がんばってほしい」
おやおや、早くもエールか。うん、東京はへそ曲がりが多いからね。面白いかも。