「伊達直人」の名前で全国に広がったタイガーマスク運動。『善意』を伝えるのに匿名が良いのか、実名が良いのかにまで論議が及んでいるが、「スパモニ番組」は実名で贈り物をした若い男性のケースを取り上げた。
本名で贈った24歳男性
東京・練馬の児童養護施設「錦華学院」に13日(2011年1月)、「タイガーマスク、気持ちです」と6個のランドセルと学用品が郵送されてきた。
さらに15日には別の人なのか、若い男性が訪れ「練馬区在住のゲゲゲの鬼太郎から」と落書き帳や折り紙を置いていった。学院関係者が名前を聞くと、本名を名乗り連絡先も教えてくれた。
番組スタッフが送り主を取材した。24歳の大根田圭という男性で、実名での贈り物について次のように語った。
「タイガーマスクの運動に感動しました。皆さん匿名を使っておられるけど、私は本名で顔を出して贈るのが一番いいのではと思った。
今年はこのタイガーマスク運動で幸先の良いスタートを切りました。これで世の中が明るくなればいいし、子供たちの喜ぶ顔をもっと見たいと思った」
「スパモニ」にも手紙
スタジオでまず口火を切ったのは小木逸平アナ。
「私の元にタイガーマスクから『報道で遠い街の出来事でないことに気づかされました』という手紙が届きましたよ」
ジャーナリストの鳥越俊太郎は「日本人が持っている援助の手を差し伸べるという心のなかのDNA に火をつけた。実名か、匿名かはどっちでもいい。こだわらない方がいいと思う」という。
これに元検事で弁護士の大澤孝征が次のように話した。
「日本人はお上をあまり信用していない。直接、自分で行って役に立っていることを実感したい気持ちが、こういう行動に火を付けたのではないか。
もともと日本人はひそかに善を積む、徳を積むことが良いとされ、実名よりも匿名が善を積むのになじみやすかった」
たしかに、鳥越が述べるように匿名でも実名でもこだわる必要はない。大事なのは善意がきちっと相手に伝わること。それには直接相手に贈るのが良い。
小学生らが駅などで仲間同士で競うように大声を張り上げて募金を求める「赤い羽根募金運動」。大人がやらせているのだが、なかば強制的でいただけない。タイガーマスク運動はそんな善意の押し売りへの反発とも受け取れる。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト