沖縄市の15歳の中学3年生が、商業映画史上最年少の映画監督としてデビューした。「やぎの冒険」を撮った中村颯悟(りゅうご)さんだ。
東京での封切りに現れた中村さんは学生服姿。「なんか、でーじ(すごく)マイク がこっち並んでいるからびっくりしました」と沖縄言葉でしゃべった。落ち着いた堂々たるしゃべり。これが中学生?
8歳のときに父を亡くし、 以来カメラを持つようになって、これまでに40本の物語を撮った。2009年の「沖縄観光ドラマコンペ」で脚本「やぎの散歩」が高く評価されたのをきっかけに、制作委員会が沖縄のプロスタッフを結集して撮ったのが今回の「やぎの冒険」だ。
母の故郷の沖縄・ヤンバルの田舎で休暇を過ごす都会育ちの少年は、やぎのポチとシロの世話をしていたが、ある日ポチがお祝いの席のごちそうになってしまう。ショックを受けた少年が、逃げたシロを追って……という物語である。
沖縄ではやぎを食べる習慣がある。しかし、やぎは身近で可愛い存在だ。去年9月(2010年)に沖縄で上映、観客動員4万人を突破した。
「ヤギを走らせるのが大変でした」
トークショーでは、「県内で一番可愛いやぎだけど、頭が弱くて全然いうことをきかなくて、ヤギを走らせるのが大変でした。台詞にとくにこだわって、普段こういうこと言わないだろうという映画的な台詞ってあるじゃないですか、それを全部いつも自分たちが使っている言葉に変えていった」と話した。
「スッキリ!!」に寄せたメッセージでは、「沖縄の方言とか沖縄の感覚がいっぱいあって、県外の人のどれだけ伝わるかわからないですけど、ぜひ楽しんでください。よろしくお願いします」と語ったあと、「オッケーですか?」――。
司会の加藤浩次「オッケーですかって、しゃべりがしっかりしてるわ。自分で書いたものを自分で撮ってるんでしょう」
キャスターのテリー伊藤「脚本ができるのはすごい。撮るのはできるけど脚本はね。15歳のミュージシャンもいるし、15歳の監督がいてもいい。15歳にはボクらにはわからない感性がいっぱいある。すばらしい」
コラムニストの勝谷誠彦が「6歳の大女優と15歳の名監督に撮られちゃったら…」とジョークを飛ばす。実はその前のコーナーで、6歳の芦田愛菜の話が出ていたのだ。勝谷は映画監督をつとめたテリーも指して、「どうぞ使ってやってください」と頭を下げた。(笑い)
中村さんは次作は「ジュゴン」を題材に環境保護を訴えるという。15歳といえばゴルフの石川遼の初優勝もそうだった。 スケートの浅田麻央も14歳に足らず五輪に出られなかったんだっけ。高齢者にはちょっとつらい話だけど、時代は回ってる。