リストラ機関士と新米機関士―暴走列車どうやって止めるか!

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(c)2010 TWENTIETH CENTURY FOX
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<アンストッパブル>『クリムゾンタイト』『サブウェイ123 激突』などでコンビを組んできたトニー・スコット監督とデンゼル・ワシントンの最新作は、2001年5月にオハイオ州で実際に起きた列車暴走事故を元にしたアクション大作。相棒の新米車掌役には『スタートレック』のクリス・パイン。CGを抑えた迫力あるアクションに息を呑む。

   ペンシルバニア州の停車場で、最新式の貨物列車777号がブレーキ操作のミスによって無人のまま運転を始めてしまった。積み荷は大量の化学薬品とディーゼル燃料。鉄道会社と警察はさまざまな手を尽くすが、暴走する列車を止めらない。このままでは急カーブで脱線、爆発、予想被害者数10万人の大惨事は避けられない。ベテラン機関士フランク(デンゼル・ワシントン)は、事態を察知し、この日初めてコンビを組んだウィル(クリス・パイン)と共に暴走列車に立ち向かう。

追いかけるオンボロ機関車

   この映画に『サブウェイ123 激突』のような電車をジャックする犯人は出てこない。邦画『新幹線大爆破』のように爆弾を仕掛けられたわけでもない。交渉の余地ゼロ。暴走を続ける列車を力ずくで止めるしかない。ある意味、どんなテロリストが乗っている列車よりも恐ろしい。暴走を始めた列車の迫力ある映像と車輪の軋む音が、機械化・システム化された社会に対する恐怖をあおる。

   しかし、フランクとウィルが暴走列車なんとか止めようと奮闘するあたりで、そんな小難しい社会に対する警鐘は見事に吹っ飛ばされ、2人のヒーローに釘付けになる。2人が乗る旧式の機関車が最新式の暴走列車に立ち向かうという設定も、映画の痛快さをうまく際立たせている。

   強制解雇が決まっているベテラン機関士フランクとコネ入社の新米車掌ウィルという対照的なキャラ設定が、映画全体に利いている。立場の違いから生じる衝突を丁寧に描くことで、それに続くアクションシーンをより魅せているのだ。

   痛快活劇としては絶品。ただ、現代的なテーマが痛快さに隠れてしまったのは、実際に起こった事故を元にしているのに残念だ。

野崎芳史

おススメ度☆☆☆☆

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