手に入れると幸福をもたらすという東北の素朴な民間伝承を作家の若一光司が「ミステリーツアー」コーナーで取り上げた。古事記にも出てくるという「ケサランパサラン」。発祥の地といわれる山形県鶴岡市の集落で、100年ほど前に見つけ家宝にしているという家を訪れると、人に見せると幸せが逃げるからと「ダメだ~」の取材拒否。最近見つけたという男性の家でやっと見せてもらうと、手の平に乗るほどの小さな純白な毛のかたまり。山で木にひっかかっていたのを採取したという。
ここらでは天から降りてきたという意味で「てんさらばさら」と言われており、ここ7年間で見つかったのは3件という。
信仰の対象になってきたこのナゾの物体は、実はここだけでない。種類が違うが、金色っぽい長い毛を持つケサランパサランが栃木県足利市にもあった。さらに、長い銀色の毛を持つ新種も宮城県大崎市で大量に見つかっている。
素朴な民間伝承
いったいこれは何なのか。長年研究してきた阿蘇和夫・元高校教師の解説によると、ケサランパサランはウサギなどの小動物を猛禽類が襲い、吐き出した毛が雪で冷やされて乾燥したもの。
一方、長い毛のケサランパサランは植物が種子を風で遠くに飛ばすための冠毛。大崎市の銀色の長い冠毛はカガイモの種からこぼれたものだという。
若一は動物由来のケサランバサランの方が幸せになる人が多いようです」というが、小木逸平アナは「信じる気持ちが幸せを呼ぶんですよ」
科学的に解明すれば、「なんだ、やっぱり」となるのだが、木とサカナの骨で作られた和歌山の人魚ミイラと違い、このミステリーは東北の素朴な自然崇拝が伝わってきていい。