マンションの隣人トラブルはいろいろあるが、慌ただしい年の瀬にとんだ人騒がせな事件があった。階下の騒音の恨みを晴らすため、床に穴を開け、都市ガスを送り込んだというものだ。「とくだね!」が「前代未聞のいやがらせ」と報告した。
フーテンの寅さんで知られる東京・葛飾。レポーターの田中良幸によると、マンション5階に住む61歳のタクシー運転手は、自室のフローリングの板をはがし、厚さ13センチのコンクリートに電気ドリルで穴を開け、台所のガスコンロのビニールホースで下の部屋にガスを送り込んだ。ガスは廊下やエレベーターにも漏れたが、幸い、健康などへの被害はなかった。しかし、ひとつ間違えば、爆発の惨事になるところだった。
61歳タクシー運転手
マンションの住人によると、真夜中に運転手の部屋からはドデデデデデという音が聞こえるので、「大工さんでもないのに、何やっているのか」と不審に思っていたという。通報で捜査していた警察官にガス等漏出の現行犯で逮捕された。それにしても、穴をあけるのに約1年かけたというから相当の執念である。
司会の小倉智昭が呆れた表情でいう。
「うるさいと言ったって、ドリルの騒音の方がよっぽとうるさいじゃないですか。それに、下が爆発したら、自分のところが危ないのに」
コメンテーターの竹田圭吾(ニューズウイーク日本語版編集長)も、皮肉まじりに語る。
「夜中のドリルの音なんか、外国だと犯罪組織かテロ組織かと疑われる。日本は平和なのかな、と」
暮れになると、テレビ局もこうした馬鹿馬鹿しい事件に振り回されるものだ。
文
一ツ石| 似顔絵 池田マコト